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遺留分について詳しく解説!

遺留分について
詳しく解説!

1.遺留分とは

「遺留分」とは、日本の民法において、遺言によって相続分が決まる際に、一定の相続人に必ず保障される相続分のことを指します。遺留分の制度は、相続人が遺言により不公平な扱いを受けないようにするための保護措置です。遺留分は、相続人に対する最低限の権利として、遺言によって一部の相続人に対する権利を侵害できないことを保障します。

2. 遺留分の基本的な考え方

遺留分は、遺言によって財産の分配が行われる際に、その分配が相続人の権利を著しく不公平にすることを防ぐために設けられています。相続人が遺言で指定された分け方に納得できない場合、遺留分を主張することができます。

3. 遺留分が保証される相続人

遺留分が保障される相続人は、以下の者です。

  • 配偶者(夫または妻)
  • 直系卑属(子ども、孫など)
  • 直系尊属(親、祖父母など)

※兄弟姉妹には遺留分がありません。

4. 遺留分の割合

遺留分の割合は、相続人の種類によって異なります。

  • 相続人が直系卑属(子ども、孫など)のみの場合
    • 相続人が1人の場合:全体の1/2
    • 相続人が2人以上の場合:全体の1/2をその人数で均等に分けます。
  • 配偶者がいる場合
    • 配偶者と直系卑属がいる場合:配偶者の遺留分は全体の1/4、直系卑属の遺留分は全体の1/4(直系卑属の人数で均等に割る)
    • 配偶者と直系尊属がいる場合:配偶者の遺留分は全体の1/3、直系尊属の遺留分は全体の1/6(直系尊属の人数で均等に割る)
    • 配偶者のみの場合:配偶者の遺留分は全体の1/2
  • 直系尊属(親、祖父母など)のみの場合
    • 相続人が1人の場合:全体の1/3
    • 相続人が2人以上の場合:全体の1/3をその人数で均等に分けます。

5. 遺留分減殺請求

遺留分を侵害する遺言があった場合、遺留分を侵害された相続人は「遺留分減殺請求」をすることができます。遺留分減殺請求を行うことで、遺留分を取り戻すことができます。この権利を遺留分侵害額請求権と言います。この権利は、遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは時効によって消滅します。

遺留分減殺請求の方法

  • 遺留分を侵害された相続人は、遺言で指定された財産を譲り受けた受贈者(例えば遺言で指定された相続人)に対して減殺請求を行います。
  • 減殺請求の内容は、遺留分を侵害した部分の範囲で金銭の支払いを請求することです。

6. 遺留分に関する注意点

  • 遺言の内容が法的に無効になるわけではない:遺留分を侵害した遺言は、無効になるわけではなく、遺留分を侵害された相続人だけが減殺請求を行うことができます。あくまで遺留分を侵害した部分の範囲で金銭の支払いを請求することができるという権利があるというのみです。

8. 実際の遺留分を考慮した相続対策

遺留分は相続人にとって重要な権利ですが、遺言を通じて自分の希望通りに財産を分配したい場合、相続人と事前に調整を行うことが推奨されます。また、遺留分減殺請求が行われる可能性がある場合、相続税の対策を立てることも重要です。

9.遺留分と相続分の違い

遺留分と相続分は異なる概念です。遺留分は「遺言によっても侵害することができない最低限保障される相続分」であり、相続分は「実際に法定相続人が受け取るべき相続割合の目安」です。遺言で財産を分ける際に、法定相続人が遺留分を侵害されることがないように配慮する必要があります。

例えば、遺言によって第三者に多くの財産を渡すことがあっても、法定相続人(兄弟姉妹を除く)には遺留分が保障されており、その遺留分を侵害された場合に遺留分減殺請求を行うことができます。

9.まとめ

以上が「遺留分」の基本的な説明です。遺留分は相続人の最低限の権利を守るために設けられた重要な制度であり、遺言を作成する際にはこれを意識して計画を立てることが大切です。