相続で戸籍を提出するとき、
・戸籍に有効期限はあるのか
・前に取った戸籍をそのまま使えるのか
・現在戸籍と除籍謄本、改製原戸籍は同じように考えてよいのか
・金融機関や法務局ではどう扱われるのか
と迷う方は多いです。
戸籍の有効期限を考えるときは、
・戸籍そのものに期限があるのか
・提出先が最近のものを求めているのか
・戸籍の種類によって違いがあるのか
を分けて考える必要があります。
この記事では、現在戸籍と除籍謄本、改製原戸籍の違いも含めて、相続手続での扱いを実務ベースで解説します。
相続の戸籍収集にお困りの方へ
相続では、まず被相続人の戸籍を「出生から死亡まで」揃える必要があります。
ただ本当に迷いやすいのは、相続人側の戸籍を「誰の・どこまで」用意すべき範囲が分からないことです。
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先に結論
戸籍そのものに有効期限はありません。
ただし、相続実務では
・戸籍そのものの効力
・提出先の運用
を分けて考える必要があります。
戸籍の種類ごとに見ると、考え方はこうです。
・除籍謄本、改製原戸籍は内容が変わらない
・現在戸籍は発行時点の状態を示す
この違いがあるため、時間が経って確認されやすいのは主に現在戸籍です。
実務では、銀行や証券会社から
・3か月以内のものをお願いします
・最近取得した戸籍をご提出ください
・戸籍一式を取り直してください
と言われることがあります。
ここで大事なのは、除籍謄本や改製原戸籍に期限があるわけではない、という点です。本来は内容が変わらない書類ですが、提出先の運用で戸籍一式をまとめて再取得扱いにされることがあります。
戸籍そのものに有効期限はない
戸籍は、身分関係の記録を証明する書類です。出生、婚姻、離婚、死亡などの事実が記録されており、過去や現在の身分関係を証明するために使います。そのため、発行から何か月以内でなければ無効になる、という有効期限の定めはありません。
たとえば、5年前に取った除籍謄本が、それだけで無効になることはありません。10年前に取った改製原戸籍も、それだけで使えなくなるわけではありません。ここでいう「有効期限がない」とは、戸籍という書類自体が時間の経過だけで効力を失わない、という意味です。
戸籍の種類によって扱いが変わる
有効期限の話で大事なのは、戸籍の種類です。
除籍謄本と改製原戸籍
除籍謄本や改製原戸籍は、すでに閉鎖された戸籍です。その後に新しい記載が加わることはありません。記録内容は確定しており、後から変わりません。
そのため、
・何年経っていても内容は同じ
・時間が経ったこと自体で使いにくくなる性質ではない
という特徴があります。
相続で被相続人の出生から死亡までを追うときに必要になる古い戸籍は、この性質があるため、本来は取り直しの対象になりにくいです。
現在戸籍
現在戸籍は、今の身分関係を記録している戸籍です。この戸籍は、発行後に内容が変わることがあります。
たとえば、
・婚姻
・離婚
・認知
・養子縁組
・死亡
などがあると、戸籍の記載は更新されます。
つまり、現在戸籍は「発行時点の状態」を証明する書類です。その後の変更までは反映されません。ここが、除籍謄本や改製原戸籍との大きな違いです。
なぜ現在戸籍は新しいものを求められやすいのか
戸籍そのものに有効期限はありません。それでも現在戸籍について「最近のものを出してください」と言われやすいのは、発行後に内容が変わる可能性があるからです。
提出先としては、
・今の状態に近い情報を確認したい
・古い現在戸籍では途中の変更が反映されていないかもしれない
と考えます。
そのため、
・古い現在戸籍を出したら新しいものを求められる
・現在戸籍だけ取り直してくださいと言われる
ということがあります。つまり、「戸籍に期限がある」のではなく、提出先が確認のために新しい現在戸籍を求めている、ということです。
相続手続でよくある目安
相続手続では、提出先ごとに扱いが少し違います。一般的には次のような運用が多いです。
・銀行や証券会社では3か月以内、6か月以内の戸籍を求められることがある
・法務局では明確な月数ルールが前に出ることは少ないが、現在戸籍が古いと確認されることがある
ここで大事なのは、これは法律上の統一ルールではないという点です。
つまり、
・3か月を過ぎたら必ず使えない
・6か月を超えたら無効
という意味ではありません。
ただし、実務では
・銀行で「3か月以内のものをお願いします」と言われる
・証券会社で「最近取得した戸籍をご提出ください」と案内される
・現在戸籍だけ新しいものを出し直してくださいと言われる
といったことは普通にあります。
今持っている戸籍がそのまま使えるかの見方
今持っている戸籍がそのまま使えるかを見るときは、戸籍の種類ごとに見ると分かりやすいです。
除籍謄本と改製原戸籍はそのまま使いやすい
除籍謄本と改製原戸籍は内容が変わらないため、以前に取ったものでもそのまま使いやすいです。相続で古い戸籍を取り直す場面は、紛失したとか通数が足りないといった事情でない限り、本来はあまり多くありません。
現在戸籍は取得日を見た方がよい
現在戸籍は発行日から時間が経っていると、提出先で確認されやすくなります。
そのため、
・現在戸籍だけは取得日を見る
・しばらく時間が経っているなら取り直しも視野に入れる
という見方が実務的です。
特に相続開始から手続まで時間が空いている場合や、金融機関にこれから出す場合は、現在戸籍だけ新しくしておく方が通りやすいことがあります。
本来は取り直し不要でも、提出先の運用で再取得を求められることがある
ここはかなり大事です。本来、除籍謄本や改製原戸籍は内容が変わらないため、時間の経過だけで取り直しが必要になる性質の書類ではありません。
ただし、実務では金融機関が戸籍の種類ごとに細かく分けず、戸籍一式をまとめて
・最近のものを出してください
・全部取り直してください
という形で求めることがあります。
そのため、
・理屈の上では取り直し不要
・実務では提出先の運用で再取得になることがある
この2つを分けて考える必要があります。
ここで大事なのは、「除籍謄本や改製原戸籍に期限がある」という理解をしないことです。あくまで提出先の運用上、戸籍一式をまとめて取り直し扱いにされているだけです。
取り直しが必要になりやすいケース
取り直しが出やすいのは、主に現在戸籍です。具体的には次のようなケースです。
・取得してから数か月以上経っている
・相続手続が長引いている
・銀行や証券会社にこれから出す
・提出先から最近のものを求められた
・現在戸籍の後に身分関係の変動が起きている可能性がある
たとえば、
・戸籍は集め終わっていたが、遺産分割協議が長引いた
・以前取った現在戸籍をそのまま銀行に出したら新しいものを求められた
・証券会社に提出したところ、現在戸籍だけ取り直しになった
といった流れです。
一方で、除籍謄本や改製原戸籍は、時間経過だけを理由に取り直しになる性質の書類ではありません。ただし、提出先が戸籍一式をまとめて求めると、結果として一緒に取り直すことはあります。
無駄な取り直しを減らす考え方
戸籍の取り直しを減らすには、現在戸籍とそれ以外を分けて考えるのが大事です。考え方としてはこうです。
・除籍謄本と改製原戸籍は、取れた時点でそのまま使う前提でよい
・現在戸籍は、提出のタイミングを意識する
・手続開始が近いところで現在戸籍をそろえると流れを作りやすい
つまり、全部を何度も取り直すのではなく、取り直しが問題になりやすいのは主に現在戸籍、と見ておく方が実務に合っています。
法定相続情報一覧図を作ると進めやすい
手続先が多い相続では、法定相続情報一覧図を作るとかなり進めやすくなります。理由は、その後の銀行や証券会社などの手続で、戸籍原本を何度も出す流れを減らせるからです。
そのため、
・銀行が複数ある
・証券会社もある
・戸籍原本を何度も回したくない
という相続では、法定相続情報一覧図を作った方が実務に合いやすいです。現在戸籍の取得時期を見ながら一覧図まで作っておけば、その後の手続も動かしやすくなります。
法定相続情報一覧図については、以下の記事で詳しく解説しています。
法定相続情報一覧図とは?作成方法・必要書類・何枚もらうべきかを解説
戸籍収集のタイミングはどう考えるか
戸籍は早く集めれば安心という面がありますが、現在戸籍の扱いまで考えると、手続とのタイミングも大事です。
実務では、
・除籍謄本、改製原戸籍は先に集めても問題になりにくい
・現在戸籍は提出の時期を見ながら考える
という見方がしっくりきます。
たとえば、
・まず戸籍収集で相続人を確定する
・必要なら法定相続情報一覧図を作る
・その流れで銀行や証券会社の手続に入る
という順番なら、現在戸籍の取り直しも起きにくくなります。
こんなときは現在戸籍だけ取り直す発想でよい
全部取り直す必要があると思うと、かなり大変に感じます。ただ、実務ではそうではありません。
現在戸籍が古いときは、
・現在戸籍だけ取り直す
・除籍謄本や改製原戸籍はそのまま使う
という考え方で足りることが多いです。この見方ができると、無駄な負担を増やさずに済みます。
ただし、金融機関によっては戸籍一式をまとめて取り直してくださいと言ってくることがあります。その場合は理屈の問題ではなく、その提出先の運用として対応することになります。
戸籍収集にお困りの方へ
相続では、
・戸籍を出生から死亡まで集める
・相続人を確定する
・法定相続情報一覧図を作成する
必要があります。
しかし、実際には、
・前に取った戸籍がそのまま使えるのか分からない
・現在戸籍だけ取り直すべきか判断できない
・提出先ごとの運用が分かりにくい
・戸籍収集と相続手続の順番で迷う
といった形で止まることがあります。
戸籍取り寄せ代行センター(行政書士)では、
・相続に必要な戸籍収集
・法定相続情報一覧図の作成
をまとめて対応しています。
戸籍が多い相続でも戸籍収集から一覧図作成まで一括対応可能です。
基本料金は19,800円です(料金は相続人の人数で変わりますが、戸籍の通数では変わりません)。
まとめ
戸籍そのものに有効期限はありません。ただし、相続手続では戸籍の種類によって考え方が変わります。
・除籍謄本、改製原戸籍は内容が変わらない
・現在戸籍は発行時点の状態を示す
そのため、時間が経って確認されやすいのは主に現在戸籍です。
一方で、除籍謄本や改製原戸籍は本来、時間経過だけで取り直す必要はありません。ただ、実務では金融機関が戸籍一式をまとめて最近のものとして求めることがあります。
実務では、
・除籍謄本や改製原戸籍はそのまま使う
・現在戸籍は提出のタイミングを見て考える
・手続先が多いなら法定相続情報一覧図を作る
という進め方が合っています。
「戸籍に有効期限があるか」ではなく、
・どの戸籍が変わりうるか
・どの戸籍が変わらないか
・提出先が何を見ているか
を見ることが大切です。
相続の戸籍まわりの全体像は
▶相続の戸籍の集め方と必要書類|解説記事一覧
にまとめています。他のケースや手続きも含めて確認したい方は、あわせてご覧ください。
