戸籍を読んでいると、
「未帰還者に関する特別措置法により死亡とみなす」
といった記載が出てくることがあります。
このとき、
・これは通常の死亡と何が違うのか
・本当に死亡しているのか
・いつ死亡扱いになるのか
・失踪宣告との違いは何か
・相続はいつ開始するのか
と迷いやすいです。
この記載は、現在の制度ではなく、戦後の特別な事情に基づいて設けられた法律によるものです。
そのため、
・通常の死亡
・普通失踪
・危難失踪
と同じ感覚で読むと、戸籍の意味を誤ります。
この記事では、未帰還者に関する特別措置法による死亡扱いとは何か、戸籍での見え方、相続への影響を実務ベースで解説します。
相続の戸籍収集にお困りの方へ
相続では、まず被相続人の戸籍を「出生から死亡まで」揃える必要があります。
ただ本当に迷いやすいのは、相続人側の戸籍を「誰の・どこまで」用意すべき範囲が分からないことです。
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先に結論
未帰還者に関する特別措置法による死亡扱いとは、「戦後、海外から帰還しなかった人(未帰還者)について、法律により死亡したものとして扱う制度」です。
重要なのは、
・実際の死亡確認があるわけではないこと
・現在の制度ではなく、過去に存在した特別法であること
・戸籍にはその法律に基づく死亡扱いとして記載されること
・相続はその死亡扱いの時期を基準に開始すること
です。
この場合も、「いつ亡くなったか」ではなく、「いつ死亡と扱われたか」を基準に戸籍を読む必要があります。
未帰還者に関する特別措置法とは何か
未帰還者に関する特別措置法とは、「戦後、海外に取り残されて帰国しなかった人について、法律上の処理を進めるために設けられた制度」です。
戦後は、
・戦地や抑留先から帰国できなかった人
・生死が分からないまま長期間経過した人
が多数存在しました。
このままでは、
・戸籍が動かない
・相続が始まらない
・家族関係の法的処理ができない
という問題が起きます。
そこで、「一定の基準により死亡したものとして扱う」という特別な仕組みが設けられました。
通常の死亡との違い
通常の死亡では、
・死亡の事実が確認されている
・死亡届に基づいて戸籍に記載される
という流れになります。
一方、未帰還者特措法では、
・死亡の事実そのものは確認されていない
・しかし法律により死亡したものとして扱われる
という違いがあります。
つまり、
・通常の死亡 → 実際の死亡確認が前提
・未帰還者特措法 → 法律上の死亡扱い
です。
この違いを押さえておかないと、戸籍の意味を誤ります。
失踪宣告との違い
未帰還者特措法と似た仕組みとして、「失踪宣告(普通失踪・危難失踪)」があります。違いは次のとおりです。
失踪宣告
→ 現在もある制度
→ 家庭裁判所の手続によって死亡扱いになる
未帰還者特措法
→ 戦後の特別法
→ 当時の法律に基づいて死亡扱いがされている
つまり、
失踪宣告 → 今も使われる制度
未帰還者特措法 → 過去に使われた制度
という違いがあります。
普通失踪の内容は、以下の記事で解説しています。
普通失踪とは?死亡扱いの時期・戸籍の見方・相続への影響
危難失踪の内容は、以下の記事で解説しています。
危難失踪とは?死亡扱いの時期・戸籍の見方・相続への影響
死亡扱いの時期はいつか
ここが重要です。未帰還者特措法では、法律に基づいて定められた時点で死亡したものとして扱われます。
つまり、
・実際にいつ亡くなったかは分からない
・しかし法律上は一定の時点で死亡と扱われる
という考え方です。
相続では、この死亡扱いの日が基準になります。
戸籍ではどう書かれるのか
戸籍では、
・未帰還者に関する特別措置法に基づくこと
・死亡したものとして扱われること
が分かる形で記載されます。
たとえば、「未帰還者に関する特別措置法により死亡とみなす」といった趣旨の記載になります。
ここで重要なのは、
・通常の死亡ではないこと
・法律上の死亡扱いであること
・昔の法律による処理であること
を読み取ることです。
そのうえで、死亡扱いの時期がいつかを確認します。
相続で何が問題になるのか
未帰還者特措法が相続で重要なのは、「死亡扱いの時期が特殊であるため、相続の前後関係に影響すること」です。
たとえば、
・誰の相続が先に始まるのか
・数次相続になるのか
・代襲相続の前提がどうなるのか
といった点です。
ここを誤ると、
・相続人の確定を誤る
・相続の順番を誤る
といった問題につながります。
数次相続と代襲相続の考え方は、以下の記事で確認できます。
数次相続とは?代襲相続との違いと相続人・必要戸籍の考え方を解説
戸籍の死亡扱いの違いをまとめて確認したい方へ
普通失踪・危難失踪・未帰還者特措法による死亡扱いの違いをまとめて確認したい方は、以下の記事をご覧ください。
戸籍の死亡扱いはどう違う?普通失踪・危難失踪・未帰還者の見分け方
確認すべきポイント① 通常の死亡と同じ感覚で読んでいないか
未帰還者特措法による記載は、通常の死亡とは異なります。
そのため、
・単なる死亡記載として読む
・実際の死亡を前提に考える
といった読み方は誤りです。
確認すべきポイント② 失踪宣告と混同していないか
未帰還者特措法は、失踪宣告とは別の制度です。
そのため、
・失踪宣告と同じものとして扱う
・普通失踪や危難失踪と同じ基準で考える
といった読み方は誤りです。
確認すべきポイント③ 死亡扱いの時期はいつか
重要なのは、「いつ死亡と扱われているか」です。ここが、相続開始時期になります。
確認すべきポイント④ 他の相続との前後関係を見ているか
さらに、
・他の家族の死亡との前後関係
・数次相続や代襲相続との関係
を確認します。
死亡扱いの時期がズレると、相続関係全体が変わります。
戸籍でどう追えばよいか
未帰還者特措法の記載が出てきた場合は、次の順で確認します。
まず記載内容を確認する
最初に、「未帰還者特措法に基づく記載であるか」を確認します。
次に死亡扱いの時期を見る
そのうえで、「いつ死亡と扱われているか」を確認します。
最後に相続関係を整理する
さらに、
・他の相続との前後関係
・数次相続や代襲相続の有無
を確認します。
戸籍収集にお困りの方へ
相続では、
・戸籍を出生から死亡まで集める
・相続人を確定する
・法定相続情報一覧図を作成する
必要があります。
しかし、実際には、
・未帰還者特措法の記載があり意味が分からない
・死亡扱いの時期をどう読むか迷う
・失踪宣告との違いが分からない
・相続の前後関係を整理できない
といった場面で手が止まることがあります。
戸籍取り寄せ代行センター(行政書士)では、
・相続に必要な戸籍収集
・相続人の確定
・法定相続情報一覧図の作成
をまとめて対応しています。
複雑な戸籍の記載でも、前後関係を確認しながら対応可能です。
基本料金は19,800円です(料金は相続人の人数で変わりますが、戸籍の通数では変わりません)。
まとめ
未帰還者に関する特別措置法による死亡扱いとは、戦後の特別な事情に基づき、法律上は死亡したものとして扱う制度です。
重要なのは、
・実際の死亡確認ではなく法律上の扱いであること
・現在の制度ではなく、過去の特別法であること
・死亡扱いの時期を基準に相続を考えること
です。
戸籍でこの記載が出てきた場合は、通常の死亡や失踪宣告とは区別して読み、死亡扱いの時期と相続への影響を正しく判断することが重要です。
相続の戸籍まわりの全体像は
▶相続の戸籍の集め方と必要書類|解説記事一覧
にまとめています。他のケースや手続きも含めて確認したい方は、あわせてご覧ください。
