婿養子とは?養子縁組と婚姻が重なる場合の戸籍の見方と相続への影響

戸籍を読んでいると、

・養子縁組の記載がある
・婚姻の記載もある
・続柄は「子」になっている

という形で、「これは配偶者なのか、それとも子なのか」と迷うことがあります。

この典型が婿養子です。

婿養子では、

・養子縁組
・婚姻

が重なっているため、戸籍の見え方が通常の婚姻や通常の養子縁組とかなり違います。

ここを読み違えると、

・配偶者なのに子としてしか見ない
・養子なのに単なる婚姻と誤解する
・誰の相続で相続人になるのかを取り違える

といったミスにつながります。

この記事では、婿養子とは何か、戸籍でどう見えるのか、入夫婚姻や養子縁組単体とどう違うのか、相続でどこを確認すべきかを実務ベースで解説します。

相続の戸籍収集にお困りの方へ

相続では、まず被相続人の戸籍を「出生から死亡まで」揃える必要があります。
ただ本当に迷いやすいのは、相続人側の戸籍を「誰の・どこまで」用意すべき範囲が分からないことです。

戸籍取り寄せ代行センター(行政書士)が、相続に必要な戸籍収集を全国対応で代行します。
基本料金は19,800円です(料金は相続人の人数で変わりますが、戸籍の通数では変わりません)。

目次

先に結論

婿養子とは、「養子縁組と婚姻が重なっている状態」です。

重要なのは、

・戸籍上は子として記載されることがある
・同時に婚姻関係も成立していること
・続柄だけでは関係を判断できないこと

です。

つまり婿養子は、「子として見える」けれど「婚姻関係もある」という構造です。

そのため、戸籍では

・養子縁組の記載
・婚姻の記載
・続柄
・その戸籍の基準

をセットで確認する必要があります。

婿養子とは何か

婿養子とは、

・ある家に男性が養子として入り
・その家の女性と婚姻する

という形です。

この結果、

・養親との間では親子関係が成立する
・妻との間では婚姻関係が成立する

という二つの関係が並びます。

ここで大事なのは、婿養子は「婿」という言葉に引っ張られると婚姻だけに見えやすい、ということです。しかし、戸籍では、「婚姻」だけではなく「養子縁組」も起きています。そのため、通常の婚姻とは見え方が変わります。

現在でも婿養子はあるのか

現在の戸籍制度には、「婿養子」という制度はありません。旧民法の家制度のように、家に入るという考え方自体がなくなっているためです。ただし、実務上は、「婚姻」「養子縁組」を組み合わせることで、今でも同じ状態を作ることは可能です。

具体的には、

・女性と婚姻する
・その女性の親と養子縁組する

ことで、

・配偶者としての関係
・養子としての関係

が同時に成立します。

つまり、制度名としての「婿養子」は現在ありませんが、戸籍上の状態としては今でも普通にあり得ます。

通常の婚姻との違い

通常の婚姻では、

・配偶者として戸籍に入る
・親子関係は変わらない

という形になります。

戸籍で見ると、

・身分事項に婚姻の記載がある
・続柄は配偶者として読める

というのが基本です。

一方、婿養子では、

・婚姻の記載がある
・さらに養子縁組の記載もある
・続柄は子として見える

という違いがあります。

つまり、

・通常の婚姻 → 配偶者が加わる
・婿養子 → 子として加わり、同時に婚姻関係もある

という形です。

入夫婚姻との違い

ここは特に混同されやすいポイントです。入夫婚姻とは、「夫が妻側の家に入る婚姻」です。

この場合は、

・婚姻によって妻側の戸籍に入る
・親子関係は変わらない
・続柄は配偶者として読む

のが基本です。

一方、婿養子では、

・婚姻に加えて養子縁組がある
・親子関係も成立している
・続柄は子として見える

という違いがあります。

つまり、

・入夫婚姻 → 婚姻のみ
・婿養子 → 婚姻+養子縁組

です。

入夫婚姻は婚姻だけですが、婿養子はそこに養子縁組も重なっています。入夫婚姻の基本は、以下の記事で解説しています。
戸籍の入夫婚姻とは?古い戸籍で出てきたときの意味と読み方

養子縁組単体との違い

養子縁組だけの場合は、

・親子関係が成立する
・婚姻関係はない

という状態です。

戸籍で見ると、

・養子縁組の記載がある
・続柄は子になる

という形になります。

しかし婿養子では、

・養子縁組
・婚姻

が同時に存在します。

そのため、

・子としての位置づけ
・配偶者としての位置づけ

を分けて考えないといけません。

ここを誤ると、

・単なる養子と誤解する
・婚姻関係を見落とす

ことになります。

戸籍ではどう見えるのか

婿養子を戸籍で確認するときは、次の順で見ると分かりやすいです。

まず養子縁組の記載を見る

最初に確認するのは、「養子縁組の記載があるか」です。これがあれば、その人はその家に子として入っています。

次に婚姻の記載を見る

次に、「婚姻の記載があるか」を見ます。これにより、その家の女性との婚姻関係があることが分かります。

続柄を見る

そのうえで、「続柄がどう見えるか」を確認します。ここでは「子」と見えることが多いため、続柄だけで判断すると誤ります。

戸籍全体の並びを見る

最後に、

・その戸籍の戸主や筆頭者が誰か
・誰と誰が夫婦なのか
・誰との親子関係が成立しているのか

を戸籍全体の並びで確認します。

つまり婿養子は、

・養子縁組の記載
・婚姻の記載
・続柄
・戸籍全体の配置

を合わせて読まないと誤読しやすい記載です。

続柄の読み方は、以下の記事で確認できます。
戸籍の続柄の読み方|古い戸籍は戸主を基準に家族関係を読む

相続で何が問題になるのか

婿養子で一番問題になるのは、「誰の相続で、どういう立場の相続人になるのか」を取り違えることです。ここを曖昧にすると、かなり危ないです。

たとえば、

・養親の相続では、婿養子は養子として子の立場で相続人になります
・妻の相続では、婿養子は配偶者として相続人になります

この二つは別です。

しかし、戸籍の見え方だけで読むと、

・子としか見えない
・配偶者としか見えない

という読み違いが起こります。

その結果、

・養親の相続で子として数えるべきなのに見落とす
・妻の相続で配偶者なのにその視点が抜ける

といった誤りにつながります。

婿養子が相続で危ない理由

婿養子が相続で厄介なのは、「見た目と法的な関係が一方向ではない」からです。

戸籍では、

・続柄は子に見える
・でも婚姻の記載もある

という状態です。

このため、

・養親との関係では子として見る
・妻との関係では配偶者として見る

という切り替えが必要になります。

ここを切り替えずに読むと、

・誰の相続で相続人になるのかを誤る
・相続人の人数を誤る
・相続分の前提を崩す

ことになります。

婿養子で危ないのは、「子に見えるから子だけ」でも「婚姻があるから配偶者だけ」でもない、という点です。

確認すべきポイント① 養子縁組の記載があるか

まず確認するのは、「養子縁組の記載」です。これがあれば、その人はその家に養子として入っています。つまり、養親との関係では子として扱う前提になります。

確認すべきポイント② 婚姻の記載があるか

次に確認するのは、「婚姻の記載」です。これがあれば、その家の女性との婚姻関係があります。つまり、妻との関係では配偶者として扱う前提になります。

確認すべきポイント③ 続柄だけで判断していないか

続柄が「子」となっているため、それだけで見ると配偶者関係を見落とします。反対に、婚姻だけ見て養子縁組を見落とすと、子としての立場が抜けます。

そのため、

・続柄
・養子縁組
・婚姻

を必ずセットで確認します。

確認すべきポイント④ 誰の相続を見ているか

ここがかなり重要です。

婿養子では、

・養親の相続なのか
・妻の相続なのか

で、その人の見え方が変わります。

養親の相続なら子として見る。
妻の相続なら配偶者として見る。

ここを曖昧にしたまま読むと、相続人の構成を誤ります。

婿養子で迷ったときの考え方

婿養子が出てきたときは、

・養子縁組がある
・婚姻もある
・続柄は子に見える
・誰の相続を見ているかで立場が変わる

と分けて考えると分かりやすいです。

特に重要なのは、「子として見える=配偶者ではない」ではないという点です。

戸籍では、

・養親との関係では子
・妻との関係では配偶者

という二つの関係が重なっています。

戸籍の流れ全体を読む考え方は、以下の記事で確認できます。
戸籍の編製原因とは|転籍・婚姻・分家・家督相続で戸籍の流れを読む

戸籍収集にお困りの方へ

相続では、
・戸籍を出生から死亡まで集める
・相続人を確定する
・法定相続情報一覧図を作成する
必要があります。

しかし、実際には、
・婿養子の記載があり関係が分かりにくい
・配偶者なのか子なのか判断できない
・誰の相続でどう扱うべきか迷う
・相続人の構成を誤りそう
といった場面で手が止まることがあります。

戸籍取り寄せ代行センター(行政書士)では、
・相続に必要な戸籍収集
・相続人の確定
・法定相続情報一覧図の作成
をまとめて対応しています。

複雑な家族関係が絡む戸籍でも、前後の記載を確認しながら対応可能です。
基本料金は19,800円です(料金は相続人の人数で変わりますが、戸籍の通数では変わりません)。

まとめ

婿養子とは、養子縁組と婚姻が重なっている状態です。

相続で重要なのは、

・続柄だけで判断しないこと
・養子縁組と婚姻の両方を確認すること
・誰の相続を見ているかをはっきりさせること

です。

戸籍で「子」と書かれていても、それだけで判断せず、養子縁組と婚姻の記載を確認し、養親との関係では子、妻との関係では配偶者として正しく読み取ることが重要です。

相続の戸籍まわりの全体像は
▶相続の戸籍の集め方と必要書類|解説記事一覧
にまとめています。他のケースや手続きも含めて確認したい方は、あわせてご覧ください。

目次