数次相続と代襲相続が重なると、戸籍収集は一気に分かりにくくなります。数次相続だけでも、途中で死亡した相続人の相続まで追う必要があります。
そこに代襲相続まで入ると、
・相続人になった後に死亡した人の相続を追う
・相続開始時点ですでに死亡していた人に代わる人を確認する
という2つの確認が重なります。
特に迷いやすいのが、
・どこから数次相続で、どこから代襲相続なのか
・なぜ確認対象が枝分かれするのか
・甥姪が絡むと何を確認すればよいのか
・どこまで戸籍を取れば完了なのか
という点です。
この記事では、数次相続と代襲相続が重なる相続で、なぜ戸籍収集が複雑になるのかを解説します。あわせて、甥姪が絡むときの見方と、どこで完了と考えるべきかも、難しいケースを前提に説明します。
相続の戸籍収集にお困りの方へ
相続では、まず被相続人の戸籍を「出生から死亡まで」揃える必要があります。
ただ本当に迷いやすいのは、相続人側の戸籍を「誰の・どこまで」用意すべき範囲が分からないことです。
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数次相続と代襲相続が重なると何が複雑になるのか
数次相続だけなら、相続人になった後で死亡した人の相続を追えば足りることがあります。代襲相続だけなら、相続開始時点ですでに死亡していた人に代わって誰が入るのかを確認すれば足りることがあります。
しかし、この2つが重なると、戸籍確認は一本では進みません。
・相続開始時点で生きていた人は、その後に死亡していれば数次相続として確認する
・相続開始時点ですでに死亡していた人は、代襲相続として確認する
という別の確認が同時に必要になるからです。
つまり、
・相続分を持った後に誰へ移るのかを確認する流れ
・最初から誰が代わりに入るのかを確認する流れ
が同時に走ります。
これが、数次相続と代襲相続が重なると戸籍収集が複雑になる理由です。
最初に分けて考えるべきこと
このテーマでは、まず「その人がいつ死亡したのか」を見ないと、確認の方向を間違えやすくなります。数次相続と代襲相続が重なるケースが難しいのは、確認対象が増えるからだけではありません。この2つでは、そもそも相続人になる人が違うからです。
数次相続では、いったん相続人になった人が死亡し、その人の相続人が後から関わってきます。一方、代襲相続では、相続開始時点ですでに死亡していた人に代わって、その子などが最初から相続人になります。
この違いがあるため、「誰が相続人なのか」の時点で混乱しやすく、区別がつかないまま進めると、確認すべき戸籍の範囲もずれていきます。
数次相続として確認する場合
数次相続として確認するのは、相続開始時点では生きていて、いったん相続人になった後に死亡した人です。この場合は、その人が持っていた相続分を、次に誰が承継するのかを確認します。
代襲相続として確認する場合
代襲相続として確認するのは、本来相続人になるはずだった人が、相続開始時点ですでに死亡していた場合です。この場合は、その人に代わって誰が相続人に入るのかを確認します。
ここを混同すると何がずれるのか
この2つは、見ているものが違います。
・数次相続は、相続分を持った後の承継先を見る
・代襲相続は、最初に誰が代わりに入るかを見る
ここを混同すると、誰の戸籍をどこまで取るのかがずれます。
甥姪が絡むと分かりにくくなる理由
このテーマで特に引っかかりやすいのが、甥姪が出てくる場合です。同じ甥姪でも、代襲相続人として入ることもあれば、数次相続人として入ることもあるからです。
甥姪が代襲相続人になる場合
甥姪は、兄弟姉妹が相続開始時点ですでに死亡している場合、その兄弟姉妹の子として代襲相続人になります。
この場合に確認するのは、
・その兄弟姉妹が相続開始時点ですでに死亡していたこと
・その人の子が誰か
・その甥姪が代襲相続人として入る立場にあること
です。
ここでは、甥姪は代襲相続人として確認します。
甥姪が数次相続人になる場合
一方で、甥姪が数次相続人として関わることもあります。
たとえば兄弟姉妹が相続開始時点では生きていたのに、その後に死亡した場合です。このとき、その兄弟姉妹が持っていた相続分について、その人の相続人を確認する必要があります。この場合、甥姪がその兄弟姉妹の相続人として入ってくることがあります。
ここで見ているのは、代襲相続ではなく、途中で死亡した相続人の相続です。
同じ甥姪でも見方が変わる
ここが難しいところです。
同じ甥姪でも、
・代襲相続人として入るのか
・数次相続人として入るのか
で、確認の意味が変わります。
だから甥姪が出てきたら、まず次の3つを見る必要があります。
・その甥姪は誰の子か
・その親は相続開始時点ですでに死亡していたのか
・それとも相続開始時点では生きていて、その後に死亡したのか
この順で見れば、その甥姪がどの立場で相続に関わっているのかを判断しやすくなります。
確認対象が枝分かれする構造
数次相続と代襲相続が重なると、確認対象は途中から枝分かれします。考える順番は次のとおりです。
・最初の被相続人の相続人が誰かを確認する
・その中に、相続開始時点ですでに死亡していた人がいるか確認する
・いれば、その人に代わって入る代襲相続人を確認する
・相続開始時点では生きていたが、その後に死亡した人がいるか確認する
・いれば、その人の相続人、つまり数次相続人を確認する
つまり、同じ相続の中で
・代襲相続として確認する流れ
・数次相続として確認する流れ
が同時に生まれます。このため、戸籍収集は一直線には進みません。途中から確認のしかたが分かれるため、複雑になります。
兄弟姉妹相続まで広がるとさらに分かりにくい
このテーマで特に複雑になりやすいのが、兄弟姉妹相続まで広がるケースです。被相続人に子も直系尊属もおらず、兄弟姉妹が相続人になる場面では、兄弟姉妹の生死状況によって確認の方向が変わります。
・兄が相続開始時点ですでに死亡していれば、その子が代襲相続人になる
・弟が相続開始時点では生きていたが、その後に死亡すれば、弟の相続人を数次相続として確認する
この場合、同じ兄弟姉妹相続の中でも、全員を同じ見方では確認できません。
・兄については、代襲相続人を確認する
・弟については、数次相続人を確認する
というように、確認のしかた自体が変わります。
これが、兄弟姉妹相続まで広がると戸籍収集が複雑になりやすい大きな理由です。
戸籍収集で見落としやすいポイント
数次相続と代襲相続が重なる相続では、次の点を見落としやすいです。
・相続開始時点で死亡していたのか、その後に死亡したのかを曖昧に見てしまう
・代襲相続人として確認すべき人と、数次相続人として確認すべき人を混同する
・甥姪が出てきたときに、誰の相続の中で入っているのかを見ないまま進めてしまう
・数次相続の確認だけを進めて、代襲相続の確認を取りこぼす
・逆に、代襲相続の確認だけを見て、途中で死亡した相続人の相続を見落とす
このテーマでは、単に親族が多いから分かりにくいのではありません。確認のルートそのものが複数に分かれるから分かりにくいのです。
どこで完了と考えるか
この難しいケースでも、完了ラインの考え方は変わりません。ただし、確認対象が枝分かれするため、終わったつもりになりやすい点には注意が必要です。完了と考えるためには、次の点がそろっている必要があります。
・最初の被相続人について出生から死亡まで追えている
・その相続人が確定している
・代襲相続がある場合は、代襲相続人まで確認できている
・数次相続がある場合は、途中で死亡した相続人の相続人まで確認できている
・最終的な承継の流れが、すべての確認ルートで戸籍につながっている
つまり、一本の流れだけつながっていても足りません。枝分かれした先まで全部つながって初めて完了です。
このテーマで押さえるべき結論
数次相続と代襲相続が重なる相続で押さえるべきことはシンプルです。
・数次相続は、相続人になった後に死亡した人の相続を追う話
・代襲相続は、相続開始時点ですでに死亡していた人に代わる人を追う話
・この2つが重なると、確認対象が枝分かれする
・甥姪が出てきたら、代襲相続人なのか数次相続人なのかをまず見分ける
・すべての確認ルートで承継の流れがつながって初めて完了になる
このテーマでは、誰が親族かを見るだけでは足りません。その人が、どの立場で相続に関わっているのかを見ることが重要です。
実際には、
・前婚の子がいる
・養子がいる
・兄弟姉妹相続と数次相続が何段階も重なる
・甥姪の中でもさらに死亡者がいる
といった、さらに複雑なケースもあります。
そのため、考え方は分かっても、自分のケースで誰をどの立場で確認すべきか判断しにくいことは少なくありません。
戸籍収集にお困りの方へ
相続では
・戸籍を出生から死亡まで集める
・相続人を確定する
・法定相続情報一覧図を作成する
必要があります。
しかし実際には、
・数次相続と代襲相続が同時に起きている
・確認対象が枝分かれしていて、自分では追いきれない
・甥姪が絡み、どの立場で入っているのか判断しにくい
・どこまで戸籍を取れば完了か分からない
といったケースが少なくありません。
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まとめ
数次相続と代襲相続が重なる相続で戸籍収集が複雑になるのは、確認対象が増えるだけでなく、確認の流れが枝分かれするからです。
重要なのは、
・数次相続と代襲相続を最初に分けて考える
・相続開始時点で死亡していたのか、その後に死亡したのかを見る
・甥姪が代襲相続人なのか数次相続人なのかを見分ける
・すべての確認ルートで承継の流れがつながっているか確認する
という点です。
このテーマでは、親族関係を広く見るだけでは足りません。その人がどの立場で相続に入っているのかを見極めながら、戸籍確認を進めることが必要です。
相続の戸籍まわりの全体像は
▶相続の戸籍の集め方と必要書類|解説記事一覧
にまとめています。他のケースや手続きも含めて確認したい方は、あわせてご覧ください。
