相続の手続きを進めると、まず最初に必要になるのが戸籍です。そのときによく出てくる言葉が
「戸籍謄本」「戸籍抄本」「全部事項証明書」「個人事項証明書」などです。
特に「戸籍謄本」という言葉はよく聞きますが、
「全部事項証明書との違い」「戸籍抄本との違い」「個人事項証明書との違い」「相続では何通必要なのか」
が分かりにくいと感じる方も多いです。
戸籍謄本は、相続の戸籍収集の出発点になる書類です。ただし相続では、戸籍謄本だけでは足りないことも多く、除籍謄本や改製原戸籍までさかのぼって確認する必要があるケースもあります。
また、戸籍謄本は相続だけで使う書類ではありません。婚姻やパスポート申請など、身分関係を証明する必要があるさまざまな場面で使われます。
この記事では
・戸籍とは何か
・戸籍謄本とはどんな書類か
・全部事項証明書との違い
・戸籍抄本、個人事項証明書との違い
・相続で戸籍謄本が必要になる理由
・戸籍謄本の取得方法
・取得時の注意点
・相続の戸籍収集での位置づけ
を実務の視点で分かりやすく解説します。
なお、戸籍の種類全体を知りたい方は
戸籍の種類とは?戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の違い
もあわせてご覧ください。
相続の戸籍収集にお困りの方へ
相続では、まず被相続人の戸籍を「出生から死亡まで」揃える必要があります。
ただ本当に迷いやすいのは、相続人側の戸籍を「誰の・どこまで」用意すべき範囲が分からないことです。
戸籍取り寄せ代行センター(行政書士)が、相続に必要な戸籍収集を全国対応で代行します。
基本料金は19,800円です(料金は相続人の人数で変わりますが、戸籍の通数では変わりません)。
戸籍とは何か
戸籍とは、日本人の「氏名」「生年月日」「親子関係」「婚姻」「死亡」などの身分関係を公的に記録する制度です。
日本では、個人の身分関係は戸籍によって証明されます。例えば「誰が親なのか」「誰と結婚しているのか」「子どもがいるのか」といった関係は、戸籍によって確認することができます。
住民票との違い
戸籍と混同されやすいのが住民票です。この2つは役割が違います。
住民票→ どこに住んでいるかを示す
戸籍→ 誰とどういう身分関係にあるかを示す
つまり「住民票=住所」「戸籍=身分関係」を証明する書類です。
相続手続きでは、戸籍と住民票の両方が必要になることもあります。
戸籍の附票との違いを確認したい方は、
戸籍の附票とは?相続で必要になるケースと取得方法
も関連性が高い記事です。
戸籍謄本とは
戸籍謄本とは、戸籍に記載されている全員の内容を写した証明書です。戸籍には「氏名」「生年月日」「続柄」「婚姻」「死亡」「養子縁組」などの情報が記録されています。戸籍謄本には、その戸籍に記載されている人の情報がすべて載っています。
現在の戸籍は、基本的に夫、妻、子という単位で作られます。
そのため戸籍謄本を取得すると、1人だけではなく、同じ戸籍に入っている家族全員の情報が記載されています。
例えば、夫、妻、長男、長女が同じ戸籍に入っている場合、戸籍謄本には4人全員の情報が載ります。
戸籍謄本と全部事項証明書の違い
現在の戸籍では、正式な証明書名としては全部事項証明書という名称が使われています。
一方で、一般には今でも戸籍謄本という言葉が広く使われています。そのため実務では、「戸籍謄本=全部事項証明書」として説明されることが多いです。役所や金融機関、専門家とのやり取りでも「戸籍謄本」という言葉が普通に使われています。
呼び方が変わった理由
昔の戸籍は紙で管理されていました。そのころは戸籍謄本、戸籍抄本という呼び方でした。
その後、戸籍はコンピューター化され、全部事項証明書、個人事項証明書という名称が使われるようになりました。つまり
昔の呼び方→ 戸籍謄本、戸籍抄本
現在の正式名称→ 全部事項証明書、個人事項証明書
という違いがあります。
コンピューター化された戸籍そのものについては
平成改製戸籍とは?コンピューター化された戸籍の特徴と読み方
も参考になります。
戸籍謄本と戸籍抄本の違い
戸籍には「戸籍謄本」「戸籍抄本」という2種類があります。
違いは、記載される人数です。
戸籍謄本→ 戸籍にいる全員
戸籍抄本→ 指定した1人
戸籍抄本は、戸籍の中の特定の人だけの情報を抜き出した証明書です。
相続では家族関係を確認する必要があるため、通常は戸籍抄本ではなく戸籍謄本を取得することが多いです。
戸籍謄本と個人事項証明書の違い
現在の戸籍では、戸籍抄本に近いものとして個人事項証明書があります。
違いは次のとおりです。
戸籍謄本→ 戸籍にいる全員の内容
個人事項証明書→ 指定した1人の内容
つまり
戸籍謄本=全員分
個人事項証明書=1人分
です。
相続では家族関係全体を確認する必要があるため、個人事項証明書ではなく戸籍謄本を使うことが多いです。
戸籍謄本は相続以外でも使われる
戸籍謄本は、相続だけで使う書類ではありません。例えば
・婚姻届を提出するとき
・離婚後の手続き
・パスポート申請
・親族関係の証明が必要な手続き
などで戸籍謄本が必要になることがあります。
このように、戸籍謄本は身分関係を証明するための基本的な書類です。
ただし、この記事では、相続で必要になる場面を中心に解説します。
相続で戸籍謄本が必要になる理由
相続手続きでは、まず相続人を確定する必要があります。相続人とは、法律で決められた相続の権利を持つ人です。例えば「配偶者」「子」「親」「兄弟姉妹」などです。誰が相続人なのかを確認するために、戸籍を調べます。
戸籍謄本だけでは足りないケース
相続では、戸籍謄本だけでは足りないことがあります。例えば
・前婚の子がいる可能性がある
・子が先に亡くなっていて代襲相続になる
・兄弟姉妹が相続人になる
・養子縁組がある
・認知された子がいる
といったケースです。
この場合、現在戸籍だけでは情報が足りないため「除籍謄本」「改製原戸籍」までさかのぼって確認する必要があります。
相続の戸籍収集の全体像は
相続の戸籍の集め方【完全版】出生から死亡までの戸籍収集を実務解説
の記事で詳しく解説しています。
相続の戸籍収集での位置づけ
戸籍謄本は、相続の戸籍収集の出発点です。
相続ではまず現在の戸籍を確認し、そこから必要に応じて古い戸籍へさかのぼっていきます。
戸籍は「転籍」「婚姻」「死亡」「戸籍制度の変更」などによって別の戸籍に移るため、戸籍をたどっていくと「現在戸籍」「除籍謄本」「改製原戸籍」などが出てくることがあります。
つまり戸籍収集では、現在戸籍・除籍謄本・改製原戸籍をつなげながら出生までさかのぼることになります。
戸籍謄本はどこで取得できる?
戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場で取得できます。ここで注意が必要なのは、戸籍は住所ではなく本籍地に置かれている点です。住所地の役所では戸籍謄本を取得できないことがあります。
本籍地が分からないとき
相続実務では、
・本籍地だと思って住所地の役所に請求してしまう
・本籍地が分からず最初の1通が取れない
というところで止まる人がかなり多いです。
本籍地が分からない場合は
本籍地が分からないときの調べ方|住民票で確認する方法と相続の戸籍収集手順
の記事も参考になります。
戸籍謄本の取得方法
戸籍謄本は次の方法で取得できます。
・役所の窓口
・郵送請求
・コンビニ交付
相続では本籍地が遠方のケースも多いため、郵送請求で取得するケースが多いです。
郵送請求の方法は
戸籍の郵送請求のやり方|必要書類・書き方・返信用封筒まで解説
の記事で詳しく解説しています。
戸籍謄本を取得するときの注意点
戸籍謄本を取得するときは、次の点に注意が必要です。
・本籍地を確認する
・必要な戸籍の範囲を確認する
・古い戸籍までさかのぼる可能性がある
・戸籍謄本だけで足りると思い込まない
特に相続では、「戸籍謄本を1通取れば終わり」と思ってしまうのがよくある誤解です。
しかし実際には、
・現在戸籍には古い婚姻歴が載っていない
・前婚の子が見えない
・親や兄弟姉妹まで確認が必要になる
・古い戸籍が除籍や改製原戸籍として別に続いている
といったことが普通にあります。そのため、相続の戸籍収集では被相続人の戸籍を出生までつなげることを目標に確認していく必要があります。
戸籍収集にお困りの方へ
相続では、被相続人の戸籍を出生から死亡までそろえる必要があります。しかし実際には
・本籍地が分からない
・転籍が多い
・改製原戸籍が何通も続く
・どこまで戸籍を取ればいいか分からない
といったケースが多くあります。また、
・戸籍謄本だけで足りると思っていた
・本籍地と住所地を混同して請求先で止まった
・兄弟姉妹相続になって親の戸籍まで必要になった
・前婚の子や代襲相続の確認が必要になった
といった場面で止まることも少なくありません。
戸籍取り寄せ代行センター(行政書士)では、相続に必要な戸籍収集を全国対応で代行しています。
基本料金は19,800円です(料金は相続人の人数で変わりますが、戸籍の通数では変わりません)。
よくある質問
戸籍謄本と全部事項証明書は違いますか?
現在の戸籍では、戸籍謄本と全部事項証明書はほぼ同じ意味で使われます。
どちらも戸籍に記載されている全員の内容を証明する書類です。
戸籍謄本と個人事項証明書は何が違いますか?
戸籍謄本は戸籍にいる全員の内容が載る書類です。
個人事項証明書は、指定した1人の内容が載る書類です。
相続では家族関係全体を確認する必要があるため、戸籍謄本を使うことが多いです。
戸籍謄本はどこで取得できますか?
戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場で取得できます。窓口のほか、郵送請求でも取得できます。
戸籍謄本だけで相続手続きはできますか?
できないことが多いです。
相続では、被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認する必要があるため、現在戸籍だけでなく、除籍謄本や改製原戸籍が必要になることもあります。
戸籍謄本と住民票は同じですか?
同じではありません。
戸籍謄本は身分関係を証明する書類で、住民票は住所関係を証明する書類です。
相続では、手続きによって戸籍と住民票の両方が必要になることがあります。
戸籍謄本は本人以外でも取れますか?
一定の条件のもとで取得できる場合があります。
相続では、相続人や代理人が必要書類をそろえて請求するケースが多いです。具体的な取得方法は自治体ごとの案内も確認してください。
まとめ
戸籍とは、日本人の身分関係を公的に記録する制度です。
戸籍謄本は、その戸籍に記載されている全員の内容を証明する書類です。
現在の戸籍では正式名称としては全部事項証明書が使われていますが、一般には戸籍謄本という言葉が広く使われています。また、個人事項証明書は、戸籍の中の特定の1人だけを証明する書類です。
戸籍謄本は相続だけでなく、婚姻やパスポート申請など、身分関係を証明するさまざまな場面で利用されます。
相続では相続人を確定するために戸籍を確認する必要があり、戸籍謄本は戸籍収集の出発点になります。
ただし、相続では戸籍謄本だけでは足りないことも多く、除籍謄本や改製原戸籍までさかのぼって確認することが重要です。
相続の戸籍まわりの全体像は
▶相続の戸籍の集め方と必要書類|解説記事一覧
にまとめています。他のケースや手続きも含めて確認したい方は、あわせてご覧ください。
