戸籍を読み進めていると、
「職権消除」
という見慣れない記載が出てくることがあります。
このとき、
・死亡と何が違うのか
・婚姻や転籍で戸籍を抜けたのとは違うのか
・この人を相続人として考える必要があるのか
・次にどの戸籍を見ればよいのか
と迷いやすいです。
特に相続の戸籍収集では、戸籍に載っていた人が途中で「職権消除」となっていると、
・もう追わなくてよい人なのか
・別の戸籍に移っているのか
・そもそも記載自体に誤りがあったのか
が分かりにくくなります。
ここを読み違えると、
・本来追うべき戸籍を追わずに相続人を見落とす
・逆に、相続人ではない人物を長く追ってしまう
といった形で相続手続が遠回りしやすくなります。
この記事では、戸籍の職権消除とは何か、戸籍上どう出てくるのか、相続で見かけたときにどこを確認すべきかを実務ベースで解説します。
相続の戸籍収集にお困りの方へ
相続では、まず被相続人の戸籍を「出生から死亡まで」揃える必要があります。
ただ本当に迷いやすいのは、相続人側の戸籍を「誰の・どこまで」用意すべき範囲が分からないことです。
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先に結論
職権消除とは、市区町村が職権で戸籍の記載を消すことです。
これは通常の
・死亡による除籍
・婚姻による除籍
・転籍による除籍
とは意味が違います。
相続で重要なのは、
・死亡したと決めつけないこと
・婚姻や転籍で抜けたと早合点しないこと
・別の戸籍に正しく載っていないかを見ること
・その人を相続人として数える必要があるかを、前後の戸籍で判断すること
です。
つまり、「職権消除」と書かれているだけで結論を出してはいけません。前後の記載、続柄、他の戸籍へのつながりを見て判断する必要があります。
戸籍の職権消除とは何か
職権消除は、役所が職権で戸籍の記載を消す処理です。
戸籍の人の動きは通常、
・出生
・婚姻
・離婚
・転籍
・死亡
などの届出や事実によって記載されます。
これに対して職権消除は、届出による通常の移動ではなく、
「今の記載のままでは正しくない」
「この戸籍にその人を残しておくべきではない」
と役所が判断して消すものです。
戸籍上は、
・職権消除
・○年○月○日職権消除
のように記載されることがあります。
ここで大事なのは、職権消除は「その人が死亡した」という意味ではないことです。また、「必ず別の戸籍に移った」とも限りません。まずは通常の除籍とは別の処理だと理解する必要があります。
職権消除が起きる典型場面
職権消除は、たとえば次のような場面で出てきます。
・誤って戸籍に記載されたことが後から分かった
・同じ人物が重複して記載されていた
・本来は別の戸籍で扱うべき記載だった
・続柄や身分関係の記載に誤りがあり、修正が必要になった
つまり、共通しているのは「その戸籍に今の形で載っていること自体が正しくない」という点です。
このため職権消除は、
・死亡したから消える
・婚姻したから抜ける
・転籍したから移る
といった通常の人の動きとは性質が違います。
ここを同じ感覚で読むと、相続人判断を誤りやすくなります。
戸籍でどう出てくるのか
職権消除は、戸籍を見たときに他の記載と並んで出てきます。
たとえば、
・ある人の欄に「職権消除」とだけ記載されている
・身分事項の中に「○年○月○日職権消除」と書かれている
・他の家族は婚姻や死亡で動いているのに、その人だけ職権消除になっている
といった形です。
ここで確認したいのは、
・死亡の記載が別にあるか
・婚姻や転籍の記載があるか
・どの欄に職権消除が書かれているか
・その前後に何の記載が続いているか
です。
見た目だけで
「戸籍からいなくなった」=「死亡した」
とは言えません。
死亡・婚姻・転籍による除籍との違い
職権消除を読み違えやすいのは、戸籍から人が消えるという点では他の除籍と見た目が似ているからです。
しかし、意味はかなり違います。
死亡との違い
死亡なら、
・死亡日が出る
・死亡の事実がある
・相続開始や代襲の判断に直結する
という特徴があります。
これに対して職権消除は、
・死亡を意味しない
・死亡日も出ない
・相続開始の根拠にもならない
という違いがあります。
婚姻との違い
婚姻なら、
・婚姻日
・婚姻により除籍
・新しい戸籍へ移る流れ
が読み取りやすいです。
一方、職権消除は、
・婚姻のような通常の戸籍移動ではない
・移動先がその場で分からないこともある
という点が違います。
転籍との違い
転籍なら、
・本籍地が変わる
・前の戸籍と次の戸籍の流れを追いやすい
のに対し、職権消除は、
・どこへ行ったかがその場で分からない
・そもそも記載が誤りだった可能性もある
ため、その一枚だけでは判断しにくいです。
相続で見かけたときに危ない理由
相続で職権消除が厄介なのは、「その人を相続人として数えるべきか分かりにくい」からです。
たとえば、
・子として載っていた人が途中で職権消除されている
・兄弟姉妹の一人に職権消除の記載がある
・古い戸籍にだけ出てきて、その後の流れが見えない
という場合、その人を
・相続人として含めるべきか
・別の戸籍に追うべきか
・そもそも誤記として考えるべきか
を判断しないといけません。
ここを誤ると、
・本来相続人でない人まで含めてしまう
・逆に、本来追うべき戸籍を追わずに見落とす
ことがあります。
つまり、職権消除は、読み違えると相続人の範囲そのものを崩しやすい記載です。
職権消除が出たときにまず見るべき場所
職権消除が出たら、その一言だけで判断せず、まず次の場所を見ます。
その人の前後の記載
その人の欄で、
・続柄
・出生や入籍の経緯
・職権消除の直前に何が書かれているか
を見ます。
職権消除の前に、
・入籍
・養子縁組
・婚姻
・転籍
などの記載があるかで意味が変わることがあります。
戸籍全体の家族構成
同じ戸籍の中で、
・他の兄弟姉妹はどう動いているか
・その人だけ不自然な動きになっていないか
・同じ氏名や似た続柄の人が他にいないか
を見ます。
一人だけ不自然に職権消除されているなら、その理由を慎重に考える必要があります。
他の戸籍とのつながり
古い戸籍や前後の戸籍を見て、
・同じ人物が別の戸籍に正しく載っていないか
・本来そちらで追うべき人ではないか
を確認します。
職権消除の意味は、その戸籍単体ではなく、戸籍全体の流れの中で見ることが重要です。
相続で確認すべきポイント① その人は実在人物として追うべきか
まず確認すべきは、その人物を相続調査の対象として追うべきかどうかです。
職権消除には、
・記載誤り
・重複記載
・本来別の戸籍に載るべき人の訂正
のような背景がありえます。
この場合、戸籍に一度出てきたからといって、そのまま相続人候補として数えるのは危険です。
確認するときは、
・同じ氏名の人が他の戸籍にいないか
・続柄や出生順が他の記載と合っているか
・前後の戸籍でその人物がどう扱われているか
を見ていきます。
相続で確認すべきポイント② 別の戸籍に移るべき人ではないか
次に見るべきは、その人が正しい戸籍に移っていないかです。
職権消除は、「この戸籍から消された」ことは分かっても、「どこへ行ったか」まではその場で分からないことがあります。
そこで、
・前後の戸籍
・本籍地の変化
・家族構成の変化
・同じ人物らしき記載
を追って、別戸籍に正しく載っていないか確認します。
ここを追わずに止めると、
・本来追うべき戸籍を見落とす
・相続人確認が中途半端になる
おそれがあります。
戸籍の流れの見方は、以下の記事でも確認できます。
戸籍の編製原因とは|転籍・婚姻・分家・家督相続で戸籍の流れを読む
相続で確認すべきポイント③ 続柄や身分関係に矛盾がないか
職権消除が出たときは、続柄や家族関係の整合性も見ます。
たとえば、
・長男と書かれているが、別戸籍ではそう読めない
・子として載っていたのに他の戸籍では別の立場で出てくる
・同じ人と思っていたが年齢や順番が合わない
といった矛盾がないかを確認します。
この点は、
・戸籍の続柄の読み方
・戸籍の人の動き
・同じ名前の見分け方
の知識が必要になります。
続柄の見方は、以下の記事で確認できます。
戸籍の続柄の読み方|古い戸籍は戸主を基準に家族関係を読む
同じ名前が出る場合は、以下の記事も参考になります。
戸籍に同じ名前が出てくるときは?同一人物か別人かの見分け方
相続で確認すべきポイント④ 相続人として数える前に生死と子の有無を確認する
職権消除の人物をすぐ相続人候補として扱うのではなく、
・その人が最終的にどの戸籍にいるのか
・生きているのか亡くなっているのか
・子がいるのか
を確認する必要があります。
特に兄弟姉妹相続や代襲が絡む場面では、
・その人が実は相続人ではない
・逆にその人の子を追うべき
ということがあります。
ここを飛ばすと、相続人の人数や範囲を誤ります。
職権消除で迷ったときの考え方
職権消除に限らず、古い戸籍で迷ったときは、
・何が起きた記載なのか
・その人はその後どこへ行ったのか
・今の相続調査で追う必要があるのか
の順で考えると分かりやすいです。
特に大事なのは、
「戸籍から消えた」=「死亡した」でも「相続と無関係」でもない
ということです。
職権消除は、見た目だけで判断すると事故が起きやすい記載です。戸籍の流れの中で位置づけを確認しないと、相続人調査の前提そのものを誤ることがあります。
戸籍の人の動きを時系列で追う考え方は、以下の記事で詳しく解説しています。
戸籍の人の動きはどこで読む?1人の戸籍を時系列で追う確認ポイント
戸籍の記載ミスが疑われるときは、以下の記事も参考になります。
戸籍の記載にミスがあるときは?誤字・記載違いの確認と訂正
戸籍収集にお困りの方へ
相続では、
・戸籍を出生から死亡まで集める
・相続人を確定する
・法定相続情報一覧図を作成する
必要があります。
しかし、実際には、
・職権消除の記載があり意味が分からない
・この人を相続人として考えるべきか判断できない
・別の戸籍に追う必要があるのか不安
・戸籍の流れを正しく追えているか分からない
といった場面で手が止まることがあります。
戸籍取り寄せ代行センター(行政書士)では、
・相続に必要な戸籍収集
・相続人の確定
・法定相続情報一覧図の作成
をまとめて対応しています。
戸籍の読み方に迷うケースでも、前後の戸籍や身分関係を確認したうえで対応可能です。
基本料金は19,800円です(料金は相続人の人数で変わりますが、戸籍の通数では変わりません)。
まとめ
職権消除とは、役所が職権で戸籍の記載を消す処理です。
これは死亡や通常の除籍とは違い、
・その戸籍に載るべきではなかった
・記載内容に誤りがあった
・別の戸籍で扱うべきだった
といった場面で出てくることがあります。
相続で重要なのは、
・死亡と決めつけない
・別の戸籍に移っていないか確認する
・続柄や身分関係に矛盾がないか見る
・相続人として数える前に、生死や子の有無まで追う
ことです。
職権消除の記載が出たときは、その一言だけで結論を出さず、前後の戸籍と戸籍全体の流れを丁寧に追うことが重要です。
相続の戸籍まわりの全体像は
▶相続の戸籍の集め方と必要書類|解説記事一覧
にまとめています。他のケースや手続きも含めて確認したい方は、あわせてご覧ください。
