相続人が海外に住んでいる場合、
「本人確認はどうするのか」
「日本の印鑑証明書が出せないときはどうするのか」
「署名証明と在留証明は何が違うのか」
と迷いやすいです。
相続では、まず戸籍を集めて相続人を確定します。ただ、海外在住の相続人がいる場合は、戸籍がそろってもそのまま進むとは限りません。理由は単純です。
戸籍で確認できるのは、「誰が相続人か」という身分関係が中心だからです。
一方で、実際の手続では、
・今対応している人が本当にその相続人本人か
・本人がその内容で手続に関与しているか
・現在どこに住んでいるか
まで確認が必要になることがあります。ここで問題になるのが、署名証明と在留証明です。
海外在住の相続人がいる相続では、日本の印鑑証明書の代わりとして署名証明が問題になりやすく、住所確認では在留証明が問題になりやすいです。
この記事では、海外在住の相続人がいるときに、戸籍だけでは足りない理由、署名証明と在留証明の役割、どこで止まりやすいのかを解説します。
相続の戸籍収集にお困りの方へ
相続では、まず被相続人の戸籍を「出生から死亡まで」揃える必要があります。
ただ本当に迷いやすいのは、相続人側の戸籍を「誰の・どこまで」用意すべき範囲が分からないことです。
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先に結論
海外在住の相続人がいる場合、本人確認は
戸籍で相続人であることを確認し、
署名証明で本人の関与を確認し、
必要に応じて在留証明で現在住所を確認する
という流れで考えるのが基本です。
それぞれの役割は次のとおりです。
戸籍→ 相続人に当たるかを確認する資料
署名証明→ 本人がその手続に関与していることを確認する資料
在留証明→ 現在の住所を確認する資料
つまり、海外在住の相続では、戸籍だけで全部を確認することはできません。相続人であることは戸籍で確認し、本人の関与や住所は別資料で補う、という考え方が必要です。
海外在住でも戸籍自体を取得できるかは、以下の記事で解説しています。
相続人が海外在住でも戸籍収集はできる?必要書類と取り方を解説
なぜ戸籍だけでは足りないのか
海外在住の相続人がいても、
・配偶者なのか
・子なのか
・養子なのか
・前婚の子なのか
・認知した子なのか
といった相続関係そのものは戸籍で確認できます。
ただし、戸籍で確認できるのはあくまで「この人が相続人に当たるか」です。
実際の相続手続では、それに加えて
・今やり取りしている人がその本人か
・その本人が遺産分割協議などに関与しているか
・今の住所はどこか
も問題になります。
たとえば、戸籍がそろって相続人は確定していても、
・遺産分割協議書に関与した本人確認が弱い
・銀行で住所確認資料の提出を求められる
・相続登記の前後で現在住所の資料が問題になる
といった場面で止まることがあります。
このとき足りないのは戸籍ではなく、戸籍の外で必要になる確認資料です。
戸籍だけで足りるのか、追加書類が必要になるのかは、以下の記事で解説しています。
相続人が海外在住のとき戸籍だけで足りる?追加で必要になる書類を解説
なぜ日本の印鑑証明書で進めにくいのか
日本の相続手続では、遺産分割協議や名義変更の場面で印鑑証明書が前提になることがあります。これは、「本人がその内容で手続に関与していること」を確認するためです。
しかし、海外在住の相続人については、日本の印鑑証明書をそのまま前提にしにくいことがあります。
主な理由は次のとおりです。
・日本に住民登録がない
・日本で印鑑登録をしていない
・国内向けの運用をそのまま当てはめにくい
そのため、海外在住の相続人については、「印鑑証明書の代わりに何で本人の関与を確認するのか」が問題になります。
ここで中心になるのが署名証明です。相続人であることは戸籍で確認し、その相続人本人が実際にその手続に関与していることは署名証明などで補う、という役割分担になります。
署名証明は何のために必要か
署名証明は、本人が署名したことを公的に証明する資料です。
海外では、印鑑ではなく署名で本人確認を行う場面が多いため、日本の印鑑証明書の代わりとして問題になることがあります。
相続で署名証明が出てきやすいのは、たとえば次のような場面です。
・遺産分割協議書に相続人本人が関与していることを示したい場面
・銀行の相続手続で本人確認資料が必要になる場面
・相続人全員の意思確認が必要になる場面
署名証明が担うのは、
・その署名が本人のものであること
・本人がその手続に関与していること
の確認です。
つまり、署名証明は、本人確認と意思確認のための資料です。
ここで大事なのは、戸籍との役割の違いです。
戸籍は「その人が相続人に当たるか」を見る資料です。
署名証明は「その相続人本人が今この手続に関与しているか」を見る資料です。
同じ本人確認まわりの話に見えても、見ている内容は違います。
なお、署名証明は一般に在外公館で問題になる資料ですが、実際にどの書類をどの形で求められるかは提出先によって違うことがあります。銀行や法務局など、提出先の確認も大切です。
在留証明は何のために必要か
在留証明は、海外に住んでいる人の現在の住所を証明する資料です。海外在住の相続人については、日本国内の住民票で現在住所を確認できないことがあります。そのため、今どこに住んでいるのかを示す別資料が必要になることがあります。
そこで問題になるのが在留証明です。
相続で在留証明が出てきやすいのは、たとえば次のような場面です。
・銀行で住所確認資料の提出を求められる場面
・相続登記の前後で現在住所の確認が必要になる場面
・遺産分割協議書に記載する住所とのつながりを確認したい場面
在留証明が担うのは、
・現在の住所を示すこと
・住所確認資料として使うこと
です。
つまり、在留証明は住所確認のための資料です。ここでも、戸籍や署名証明とは役割が違います。
戸籍は身分関係を確認する資料です。
署名証明は本人の関与を確認する資料です。
在留証明は現在住所を確認する資料です。
在留証明も一般に在外公館で問題になる資料ですが、どの手続でどこまで必要になるかは提出先ごとに差があります。
署名証明と在留証明の違い
署名証明と在留証明は一緒に語られやすいですが、確認している内容は同じではありません。
署名証明
・本人が署名したことを証明する
・本人確認、意思確認のための資料
在留証明
・現在の住所を証明する
・住所確認のための資料
つまり、署名証明は、「この人が本人か」「本人がその手続に関与しているか」を確認する資料です。
在留証明は「この人が今どこに住んでいるか」を確認する資料です。
そのため、
・在留証明があれば本人確認まで足りる
・署名証明があれば住所確認まで足りる
とは限りません。何を確認したいのかによって、必要になる資料は変わります。
どこで止まりやすいのか
海外在住の相続人がいる相続では、実務で次のようなところが止まりやすいです。
・戸籍はそろっているのに、本人確認資料が足りない
・印鑑証明書の代わりに何を出せばよいか分からない
・住所確認資料として何が必要か分からない
・署名証明と在留証明の役割を混同している
・提出先ごとに求められる資料が違い、判断に迷う
特に止まりやすいのは、遺産分割協議、銀行の相続手続、相続登記の前後です。
たとえば遺産分割協議では、相続人全員がその内容に関与していることをどう示すかが問題になります。
銀行では、払戻しや名義変更のために本人確認資料や住所確認資料の提出を求められることがあります。
相続登記の前後でも、現在住所の資料や追加書類の扱いで迷うことがあります。
このときに起きているのは、戸籍不足とは限りません。実際には、戸籍で相続人は確認できているが、戸籍の外で必要になる本人確認や住所確認の資料が足りない、という状態であることが多いです。
法定相続情報一覧図を使う場面も含めて、戸籍収集後の流れを見たい方は、以下の記事も参考になります。
法定相続情報一覧図とは?作成方法・必要書類・何枚もらうべきかを解説
何が足りないのかを見分ける考え方
手続が止まったときは、何が確認できていて、何が確認できていないのかを分けて考えると分かりやすいです。
相続人の関係が分からない→ 戸籍の問題
本人がその本人か確認できない→ 署名証明など本人確認資料の問題
現在の住所が確認できない→ 在留証明など住所確認資料の問題
この見分け方ができると、止まっている原因がかなり見えやすくなります。
海外在住の相続人がいる場合は、戸籍収集そのものよりも、戸籍収集のあとに必要になる追加資料で止まりやすいです。
そのため、
今足りないのは戸籍なのか
本人確認資料なのか
住所確認資料なのか
を切り分けて考えることが重要です。
ここが見えると、必要以上に戸籍を取り直すのではなく、次に何を確認すべきかを判断しやすくなります。
戸籍収集にお困りの方へ
相続では、
・戸籍を出生から死亡まで集める
・相続人を確定する
・法定相続情報一覧図を作成する
必要があります。
しかし、実際には、
・海外在住の相続人がいて本人確認資料の扱いが分からない
・署名証明や在留証明が必要か判断できない
・戸籍収集後に手続が止まってしまう
といった場面で進めにくくなることがあります。
たとえば、
・戸籍は全部そろえたのに銀行で追加資料を求められた
・海外在住の相続人だけ必要書類の考え方が違って手が止まった
・印鑑証明書が出せず、その代わりに何を用意すべきか分からない
といったケースです。
戸籍取り寄せ代行センター(行政書士)では、
・相続に必要な戸籍収集
・法定相続情報一覧図の作成
をまとめて対応しています。
海外在住の相続人がいる場合でも、戸籍収集から対応可能です。
基本料金は19,800円です(料金は相続人の人数で変わりますが、戸籍の通数では変わりません)。
まとめ
海外在住の相続人がいる場合、戸籍だけでは本人確認は足りないことがあります。
戸籍は、相続人に当たるかを確認する資料です。
署名証明は、本人がその手続に関与していることを確認する資料です。
在留証明は、現在の住所を確認する資料です。
つまり、海外在住の相続では、
戸籍で相続人を確定する
署名証明で本人の関与を確認する
必要に応じて在留証明で現在住所を確認する
という流れで考えることが重要です。
戸籍がそろっているのに進まないときは、戸籍そのものではなく、本人確認資料や住所確認資料の不足が原因になっていないかを見ることが大切です。
相続の戸籍まわりの全体像は
▶相続の戸籍の集め方と必要書類|解説記事一覧
にまとめています。他のケースや手続きも含めて確認したい方は、あわせてご覧ください。
