相続で戸籍を集めるとき、
「結婚後の戸籍があれば十分ではないか」
「今の配偶者との戸籍を見れば家族関係は分かるはず」
と考えてしまうことがあります。
実際にも、
・現在の戸籍や再婚後の戸籍だけを確認する
・その戸籍に出ている配偶者と子だけで相続人を判断する
というケースは少なくありません。
しかし、この進め方だと、
・銀行で「前の戸籍はありませんか」と確認される
・法務局で「出生までつながる戸籍が必要です」と言われる
といった場面で止まり、戸籍をさかのぼった結果、「前婚歴があった」と判明することがあります。前婚歴を見落とすと、その婚姻中の子の存在も見落とすことがあり、相続人の前提そのものが崩れる原因になります。
この記事では、「結婚後の戸籍だけで足りる」という思い込みで前婚歴を見落とす典型例と、戸籍のどこを見れば防げるのかを解説します。
相続の戸籍収集にお困りの方へ
相続では、まず被相続人の戸籍を「出生から死亡まで」揃える必要があります。
ただ本当に迷いやすいのは、相続人側の戸籍を「誰の・どこまで」用意すべき範囲が分からないことです。
戸籍取り寄せ代行センター(行政書士)が、相続に必要な戸籍収集を全国対応で代行します。
基本料金は19,800円です(料金は相続人の人数で変わりますが、戸籍の通数では変わりません)。
先に結論
結婚後の戸籍だけでは、前婚歴は確認できません。
戸籍は、
・婚姻
・離婚
・転籍
のたびに新しく作られるため、現在の戸籍や再婚後の戸籍だけを見ても、それ以前の婚姻の流れはそのまま見えるとは限りません。
そのため、
・今の配偶者との戸籍に違和感がない
・その戸籍に出ている家族だけで完結して見える
という場合でも、前婚歴が隠れていることがあります。
重要なのは、
・戸籍を出生までさかのぼること
・現在の戸籍だけで完了と判断しないこと
・婚姻と離婚の記録を流れで確認すること
です。
前婚の子が相続人になるかどうかは、以下の記事で詳しく解説しています。
前妻の子は相続人になる?相続順位と戸籍確認のポイントを実務解説
また、相続人全体の考え方は、以下の記事で確認できます。
法定相続人とは?誰が相続人になるのか判断手順を分かりやすく解説
典型例① 再婚後の戸籍だけ見て「家族はこれで全部」と思い込む
よくあるのが、再婚後の戸籍だけで判断してしまうケースです。
たとえば、
・被相続人が再婚している
・現在の戸籍には現在の配偶者と子が載っている
・その戸籍だけを見ると家族関係がきれいにまとまっている
という場面です。
この状態だと、「今の家族だけで相続人は確定できる」「過去のことは関係ない」と考えてしまいやすくなります。
しかし、実際には、
・過去に別の婚姻がある
・その婚姻で子がいる
・その子は現在の戸籍には出てこない
ということがあります。
つまり、今見えている戸籍で完結して見える、だから過去も問題ない、とは言えません。見た目がきれいにまとまっているほど、そこで確認を止めてしまいやすいのがこのケースの特徴です。
典型例② 婚姻の記載を見ているのに前婚歴に気づかない
次に多いのが、戸籍を見ているのに見落としてしまうケースです。
たとえば、
・身分事項に婚姻の記載がある
・しかしその前に離婚の記載があることに気づいていない
・今の婚姻だけを見て安心してしまう
という状態です。
この場合、「婚姻の記載は確認した」「今の配偶者との関係は問題ない」と判断してしまいます。
しかし、実際には、
・現在の婚姻の前に別の婚姻と離婚がある
・その婚姻中の子が存在する可能性がある
ということがあります。
特に、
・身分事項を流し見する
・新しい記載だけを見て安心する
という見方をすると、前婚歴は見落としやすくなります。
典型例③ 結婚後の戸籍だけで手続を進めた結果、途中で止まる
最も問題になりやすいのが、結婚後の戸籍だけで手続を進めてしまうケースです。
たとえば、
・現在の戸籍を取得して相続人を確認する
・配偶者と子だけで相続人を確定する
・遺産分割の話を進める
という段階まで進みます。
しかし、その後、
・銀行で「出生までつながる戸籍を提出してください」と言われる
・法務局で「この前の戸籍はありませんか」と指摘される
ことで手続が止まります。
そこで戸籍をさかのぼると、
・前婚の記録が見つかる
・前婚中の子の存在が分かる
ということが判明します。
この時点で、
・相続人の前提が変わる
・遺産分割の話をやり直す必要がある
・新たな相続人を含めて手続を進め直す
という状態になります。
結婚後の戸籍だけで進めると、手続の後半で前提が崩れることになります。
なぜ結婚後の戸籍だけでは前婚歴が見えないのか
前婚歴が見えない理由は、戸籍の仕組みにあります。
戸籍は、
・婚姻によって新しく作られる
・離婚や転籍で切り替わる
ため、現在の戸籍はあくまで途中の1枚にすぎません。
そのため、現在の戸籍、再婚後の戸籍だけを見ていても、それ以前の婚姻の流れはそのまま残っていないことがあります。
特に前婚中の子は、
・前の戸籍にしか記録がない
・現在の戸籍には出てこない
ことがあります。
つまり、今の戸籍に前婚歴が見えない、だから前婚歴はない、とは言えません。戸籍は流れで見て初めて全体像が分かります。
戸籍のどこを見れば前婚歴に気づけるか
前婚歴に気づくためには、次の点を確認します。
・身分事項の婚姻と離婚の記載
・婚姻の回数や時期の整合性
・戸籍の編製原因
・前の戸籍へのつながり
まず、身分事項を見て、
・現在の婚姻の前に別の婚姻や離婚がないか
・婚姻と離婚の記録が連続しているか
を確認します。
ここで、
・離婚の記載がある
・想定より古い婚姻の記載がある
場合は、前婚歴を疑う必要があります。
次に、編製原因を見て、
・この戸籍が何をきっかけに作られたのか
・婚姻によるものか
を確認します。
婚姻によって戸籍が作られている場合は、その前の戸籍に別の婚姻や子の記録がある可能性があるため、前の戸籍へ進みます。この流れでたどることで、前婚歴に気づくことができます。
戸籍の流れの見方は、以下の記事で解説しています。
戸籍の編製原因とは|転籍・婚姻・分家・家督相続で戸籍の流れを読む
前婚歴を見落とすとどうなるのか
前婚歴を見落としたまま進めると、相続手続は大きく止まります。
起こりやすいのは、次のような問題です。
・銀行や法務局で手続が止まる
・戸籍を追加で取り直すことになる
・相続人を最初から確認し直すことになる
・遺産分割協議をやり直すことになる
さらに重要なのは、「前婚中の子がいる場合、その人を含めない限り手続を進めることができない」という点です。
そのため、
・相続人の人数が変わる
・遺産分割の前提が崩れる
といった影響が出ます。
さらに、
・連絡先が分からない
・関係が薄い
・話し合いに時間がかかる
といった事情があると、手続は一気に長引きます。
見落としを防ぐための確認ポイント
見落としを防ぐには、次の点を意識することが重要です。
・結婚後の戸籍だけで判断しない
・身分事項の婚姻と離婚をすべて確認する
・戸籍の流れをたどる
・戸籍は出生までさかのぼる
特に重要なのは、「今の戸籍で完結して見えるときほど疑う」という視点です。
戸籍は、途中の1枚だけでは全体は分かりません。
だからこそ、
・戸籍全体の流れを見る
・過去の婚姻を前提に確認する
・今見えている情報だけで完了と思わない
この進め方が重要です。
また、戸籍をどこまで集める必要があるかは、以下の記事で詳しく解説しています。
相続の戸籍はどこまで必要?配偶者と子が相続人の場合の必要範囲
戸籍収集にお困りの方へ
相続では、
・戸籍を出生から死亡まで集める
・相続人を確定する
・法定相続情報一覧図を作成する
必要があります。
しかし、実際には、
・前婚歴があるか分からない
・戸籍のどこを見ればよいか分からない
・相続人が本当に全員そろっているか不安になる
といった場面で手が止まることがあります。
戸籍取り寄せ代行センター(行政書士)では、
・相続に必要な戸籍収集
・法定相続情報一覧図の作成
をまとめて対応しています。
前婚歴の有無が分からない場合でも、戸籍収集から対応可能です。
基本料金は19,800円です(料金は相続人の人数で変わりますが、戸籍の通数では変わりません)。
まとめ
結婚後の戸籍だけでは、前婚歴は見えないことがあります。
そのため、
・現在の戸籍だけで相続人を判断する
・今の配偶者との関係だけを見て安心する
といった進め方をすると、前婚歴を見落とす可能性があります。
前婚歴の見落としは、
・前婚中の子の見落とし
・相続人の前提の崩れ
につながります。
だからこそ、
・戸籍を出生までさかのぼる
・婚姻と離婚の記録を流れで確認する
・今見えている情報だけで完了と思わない
この前提で進めることが重要です。
前婚歴の見落としは、後から補えば済む問題ではありません。相続人の前提そのものを崩す問題です。戸籍の流れ全体を確認し、正確に相続人を確定することが必要です。
相続の戸籍まわりの全体像は
▶相続の戸籍の集め方と必要書類|解説記事一覧
にまとめています。他のケースや手続きも含めて確認したい方は、あわせてご覧ください。
