相続で戸籍を確認していると、
「親はもう亡くなっているはず」
「父母はいないから関係ないはず」
「だから兄弟姉妹が相続人になるはず」
と考えてしまうことがあります。
実際にも、
・父母はすでに亡くなっていると聞いている
・現在の戸籍に親が出てこない
・その前提で兄弟姉妹だけで話を進めている
というケースは少なくありません。
しかし、このまま進めると、
・銀行で「親や祖父母の確認はしていますか」と聞かれる
・法務局で「直系尊属の戸籍が足りません」と指摘される
といった場面で止まり、「親はいないはず」という前提が崩れることがあります。
相続では、「親がいない」は思い込みでは決まりません。戸籍で確認して、初めて次に進めます。
この記事では、「親はいないはず」という思い込みで直系尊属を見落とす典型例と、どこを確認すべきかを解説します。
相続の戸籍収集にお困りの方へ
相続では、まず被相続人の戸籍を「出生から死亡まで」揃える必要があります。
ただ本当に迷いやすいのは、相続人側の戸籍を「誰の・どこまで」用意すべき範囲が分からないことです。
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先に結論
親(直系尊属)が相続人になるかどうかは、
・子がいない
・直系尊属がいる
という条件で決まります。
ここで重要なのは、「直系尊属は父母だけではない」という点です。
父母が亡くなっていても、
・祖父母が存命なら
・その祖父母が相続人になります
つまり、「父母がいないことと、直系尊属がいないことは別」です。
そのため、
・父母が亡くなっていると聞いている
・現在の戸籍に親が出てこない
というだけで、「親はいない」と判断してはいけません。
重要なのは、
・父母の生死を戸籍で確認すること
・父母がいなければ祖父母まで確認すること
です。
相続人の基本構造は、以下の記事で確認できます。
法定相続人とは?誰が相続人になるのか判断手順を分かりやすく解説
なぜ「親はいない」と思い込んでしまうのか
多くの場合、
・父母は亡くなっていると聞いている
・長年会っていない
・家族の中でも親の話が出てこない
といった事情から、「親はいない」と判断してしまいます。
また、人は相続を考えるとき、
・配偶者
・子
・兄弟姉妹
のような分かりやすい範囲だけで考えやすく、父母や祖父母までは意識が向きにくいです。
その結果、
・子がいなさそう
・親ももういないだろう
・だから兄弟姉妹で確定だろう
という流れで、確認を飛ばしてしまいます。
しかし、相続では、「いないと思う」ではなく、「戸籍でいないことを確認する」ことが必要です。この確認をしないまま次に進むと、順位を1段飛ばして判断することになります。
典型例① 父母が亡くなっている前提で止めている
最も多いのが、父母の確認で止まってしまうケースです。
たとえば、
・父母はすでに亡くなっていると聞いている
・そのため直系尊属はいないと判断している
という状態です。
この場合、「父母がいないのだから、次は兄弟姉妹だ」と考えてしまいやすくなります。
しかし、実際には、
・父母の死亡を戸籍で確認していない
・祖父母の有無を確認していない
ということがあります。
このとき祖父母が存命なら、その祖父母が相続人になります。つまり、「父母がいない= 直系尊属がいない」ではありません。ここで止まると、「親はいないはず」という思い込みのまま、上の世代を見落とすことになります。
典型例② 現在の戸籍に親が出てこないため関係ないと思う
次に多いのが、現在の戸籍だけを見て判断してしまうケースです。
たとえば、
・現在の戸籍に配偶者や子は出ている
・しかし親の記載はない
という場面です。
この状態だと、「親は戸籍に出てこないのだから関係ない」「もう亡くなっているのだろう」と考えてしまいがちです。
しかし、実際には、
・親は別の戸籍にいる
・現在の戸籍に出てこないだけ
ということがあります。
戸籍は、
・婚姻
・転籍
・改製
によって分かれるため、現在の戸籍だけでは全体像は分かりません。
ここで危ないのは、「現在の戸籍に出てこない= 相続に関係ない」と考えてしまうことです。相続では、現在の戸籍に見えない相続人や直系尊属がいることがあります。見えていないだけで、いないとは限りません。
典型例③ 兄弟姉妹に進む前提で確認が甘くなる
もう1つの典型が、考える順番の問題です。
本来は、
・子がいるか
・いなければ直系尊属がいるか
・それもいなければ兄弟姉妹
という順番で確認します。
しかし、実際には、
・最初から兄弟姉妹で考える
・その前提で戸籍を読む
ということがあります。
この場合、
・父母の死亡確認が甘くなる
・祖父母まで意識が向かない
・「どうせ兄弟姉妹だろう」という前提で進む
という状態になります。
その結果、
・兄弟姉妹で分割案を考えていた
・兄弟姉妹で話がまとまりかけていた
・後から祖父母の存在が分かった
という時点で、前提が一気に崩れます。
この場合は、
・兄弟姉妹は相続人ではなくなる
・話を最初からやり直す
・本来の相続人を含めて再協議する
必要が出てきます。
兄弟姉妹相続の前提そのものを誤るケースは、以下の記事で詳しく解説しています。
兄弟姉妹だけが相続人のはず?戸籍確認で見落とす典型例
なぜこの見落としが大きな問題になるのか
直系尊属の見落としは、相続人の前提を変えます。
その結果、
・銀行で手続が止まる
・法務局で戸籍不足を指摘される
・相続人を最初から確認し直す
といった問題が起きます。
さらに、
・兄弟姉妹で分割案を作っていた
・話がまとまりかけていた
・提出直前まで進んでいた
という段階で発覚すると、
・前提からやり直しになる
・本来の相続人を含めて再協議が必要になる
という影響が出ます。
この問題が厄介なのは、相続人が1人増えるだけではなく、誰が相続人なのかという土台そのものが変わるという点です。
銀行で止まるケースは、以下の記事で確認できます。
銀行で戸籍が足りないと言われたら?相続手続で追加提出になる典型例
法務局での不足は、以下の記事で解説しています。
法務局で相続登記の戸籍が足りないと言われるのはなぜ?具体例を解説
正しい確認の進め方
直系尊属の有無は、次の流れで確認します。
・子がいるかを確認する
・子がいなければ父母の生死を戸籍で確認する
・父母がいなければ祖父母の有無を確認する
つまり、父母で止めず、上の世代まで確認することが必要です。
また、
・現在の戸籍だけで判断しない
・被相続人の戸籍を出生までさかのぼる
ことも重要です。
戸籍の流れを途中で止めると、直系尊属の確認も甘くなりやすくなります。
戸籍の流れの確認は、以下の記事で解説しています。
戸籍の流れをさかのぼらなくて大丈夫?見落としが起きる典型例
戸籍収集にお困りの方へ
相続では、
・戸籍を出生から死亡まで集める
・相続人を確定する
・法定相続情報一覧図を作成する
必要があります。
しかし、実際には、
・親が本当にいないのか判断できない
・祖父母まで確認が必要か分からない
・相続人が全員そろっているか不安
といった場面で手が止まることがあります。
戸籍取り寄せ代行センター(行政書士)では、
・相続に必要な戸籍収集
・法定相続情報一覧図の作成
をまとめて対応しています。
直系尊属の見落としがないか不安な場合でも、戸籍収集から対応可能です。
基本料金は19,800円です(料金は相続人の人数で変わりますが、戸籍の通数では変わりません)。
まとめ
「親はいない」という判断は、
・父母だけでなく
・祖父母まで含めて
確認して初めて成立します。
そのため、
・父母が亡くなっているから大丈夫
・現在の戸籍に親が出てこないから関係ない
といった前提で判断すると、直系尊属を見落とす可能性があります。
相続では、
・子がいるか
・直系尊属がいるか
を順番に確認していく必要があります。
父母がいないことと、直系尊属がいないことは別です。父母で止めず、上の世代まで確認して初めて、次の順位に進むことができます。
相続の戸籍まわりの全体像は
▶相続の戸籍の集め方と必要書類|解説記事一覧
にまとめています。他のケースや手続きも含めて確認したい方は、あわせてご覧ください。
