相続では、戸籍を集めながら「結局、誰が相続人になるのか」を確定していく必要があります。この作業は、実子だけがいる相続でも簡単ではありません。しかし、養子が関係する相続では、相続人確定がさらに難しくなりやすいです。
実務で止まりやすいのは、次のような場面です。
・戸籍に養子縁組の記載があるが、普通養子か特別養子か分からない
・養子がいることは分かっても、実親側まで見ればよいのか判断できない
・被相続人が養子なのか、相続人候補が養子なのかで確認範囲が変わる
・離縁の有無で前提が変わる
・養子が先に亡くなっていて、代襲相続まで確認が必要になる
結論からいうと、養子がいる相続で相続人確定が難しくなるのは、相続順位のルールが特別だからではありません。難しくなる最大の理由は、戸籍上の親子関係の見方が一段増えるからです。実子だけがいる相続なら、被相続人と子の関係を追っていけば足ります。
しかし養子がいる相続では、
・誰が養子なのか
・普通養子か特別養子か
・今もその親子関係が続いているのか
・どちら側の相続を考えているのか
まで確認しないと、相続人の範囲が確定しません。
この記事では
・養子がいる相続で相続人確定が難しくなる理由
・普通養子と特別養子で確認の方向がどう変わるのか
・戸籍では何を確認するのか
・実務で止まりやすい典型例
を、相続人確定の視点から解説します。
養子全体の違いから確認したい場合は、以下の記事もあわせて確認してください。
普通養子と特別養子の違いとは?相続と戸籍確認の基本を解説
相続の戸籍収集にお困りの方へ
相続では、まず被相続人の戸籍を「出生から死亡まで」揃える必要があります。
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養子がいても相続順位のルール自体は変わらない
まず押さえたいのは、養子がいても相続順位の基本ルールは変わらないという点です。
相続順位は
・第1順位 子
・第2順位 直系尊属
・第3順位 兄弟姉妹
の順で考えます。
養子は、養親との関係では法律上の子です。そのため、養親の相続では実子と同じく第1順位の相続人になります。つまり、養子がいるから相続順位の仕組みそのものが別になるわけではありません。変わるのは、誰を子として数えるのか、そして相続関係がどちら側まで及ぶのかです。
法定相続人の基本は、以下の記事でも確認できます。
法定相続人とは?誰が相続人になるのか判断手順を分かりやすく解説
最初に難しくなるのは誰が養子なのかで確認範囲が変わるから
養子がいる相続で最初に難しくなるのは、誰が養子なのかで確認範囲が変わることです。
相続人候補の側が養子である場合は、その人が被相続人の子として数えられるかを見ます。この場面では、被相続人との間に親子関係があるかが中心です。
一方、被相続人本人が養子である場合は、確認範囲が大きく変わります。被相続人が普通養子なら、被相続人自身が養親側と実親側の両方に親子関係を持っています。そのため、被相続人に子がいない場合、直系尊属や兄弟姉妹を確認するときに実親側まで相続関係が広がります。
被相続人が特別養子なら、確認の中心は養親側です。普通養子のように実親側まで広く見る必要はありません。
つまり、
・相続人候補が養子なら、被相続人との親子関係を見る
・被相続人が養子なら、どちら側まで相続関係が広がるかを見る
という違いがあります。
ここを分けずに進めると、確認範囲が最初からズレます。
普通養子は相続関係が両側に広がるため難しくなる
普通養子では、「養親との親子関係が生じる」「実親との親子関係も残る」という形になります。そのため普通養子は、「養親の子である」「実親の子でもある」という立場です。ここが、相続人確定を難しくする最大の原因の1つです。
たとえば普通養子が関係する相続では、
・養親の相続なら子として相続人になる
・実親の相続でも子として相続人になる
ため、相続人の範囲が両側に広がります。
さらに、普通養子が先に亡くなっていれば、その子が養親の相続でも実親の相続でも代襲相続人になることがあります。
このため、普通養子がいる相続では
・どちらの相続を考えているのか
・どちら側まで戸籍確認が必要なのか
・代襲相続まで関係するのか
を最初に切り分けないと、相続人の見落としや不要確認が起こりやすくなります。
普通養子の基本は、以下の記事でも確認できます。
普通養子は相続人になる?実子との違いと相続順位を解説
特別養子は実親側を外して考えるため誤解が起こりやすい
特別養子では、「養親との親子関係が生じる」「実親との親子関係は原則として終了する」という扱いになります。そのため特別養子は、「養親の相続では子として相続人になる」「実親の相続では相続人にならない」という構造です。
このルール自体は明確ですが、実務ではここで誤解が起きやすいです。なぜなら、戸籍上には実親に関する情報が見えることがあり、家族の記憶の中にも実親の存在が残っていることがあるからです。
そのため
・特別養子なのに実親側の戸籍まで広く追ってしまう
・本来不要な確認をして手続きが大変になる
ということが起こります。
特別養子の基本は、以下の記事でも確認できます。
特別養子は相続人になる?実親との関係と相続への影響を解説
養子縁組の関係が今も続いているか確認が必要になる
養子がいる相続では、親子関係が今も続いているかの確認も欠かせません。特に普通養子では、離縁によって養親との親子関係が終了することがあります。そのため、戸籍に過去の養子縁組の記載があるだけでは足りません。
実務では
・養子縁組の記載があるか
・その後に離縁の記載がないか
・現在の戸籍の流れの中で親子関係がどうなっているか
まで確認する必要があります。
ここを見ないまま「昔、養子だったから今も相続人だろう」と考えてしまうと、相続人の範囲を誤ります。この点も、養子がいる相続で相続人確定が難しくなる大きな理由です。
養子が先に亡くなっていると代襲相続まで確認が必要になる
養子が被相続人より先に亡くなっている場合は、代襲相続まで確認しなければなりません。
養親の相続では
・普通養子が先に亡くなっていれば、その子が代襲相続人になる
・特別養子が先に亡くなっていても、その子が代襲相続人になる
という形になります。
さらに普通養子なら、実親との親子関係も残るため、実親の相続でもその子が代襲相続人になります。一方、特別養子では、実親の相続で代襲相続は起こりません。
しかもここでは、単に先に亡くなっているだけでなく、
・死亡時まで養親子関係が続いていたか
・その前に離縁していないか
まで見る必要があります。
つまり養子が先に亡くなっている場合は
・その養子の種類
・どちらの相続を考えているのか
・その養子に子がいるのか
・死亡時まで親子関係が続いていたのか
まで見ないと、相続人の範囲が確定しません。
代襲相続の基本は、以下の記事でも確認できます。
養子が先に亡くなった場合の代襲相続はどうなる?実子との違いを解説
養子がいる相続は前提が途中で変わりやすい
養子がいる相続で相続人確定が難しいのは、途中で前提が変わりやすいからでもあります。
たとえば、
・普通養子だと思っていたが特別養子だった
・養子縁組が続いていると思っていたが離縁していた
・養子本人は亡くなっており、その子がいた
・被相続人が養子だったため実親側まで確認が必要だった
といったことがあると、相続人の範囲を一から見直す必要が出てきます。
つまり養子がいる相続では、最初の思い込みのまま進めると途中で前提が崩れやすいのです。この「前提が途中で変わりやすい」という点が、養子相続の難しさの本質です。
養子がいる相続で戸籍では何を確認するのか
養子がいる相続では、戸籍で次の点を確認します。
・養子縁組の記載があるか
・普通養子か特別養子か
・誰と誰の間で親子関係が成立しているか
・その親子関係が現在も続いているか
・離縁などで前提が変わっていないか
・養子本人が生存しているか
・先に亡くなっているならその子がいるか
・今考えているのが養親の相続なのか実親の相続なのか
特に重要なのは、養子縁組の記載を見つけたら、それだけで終わらず
・誰が養子なのか
・どちら側まで相続関係が広がるのか
・その親子関係が今も有効なのか
まで考えることです。
ここを飛ばすと、相続人の範囲が大きくズレやすくなります。
養子がいる相続で止まりやすい典型例
養子がいる相続では、次のようなところで止まりやすくなります。
・普通養子と特別養子を区別していない
・被相続人が養子か相続人候補が養子かを分けていない
・養親の相続と実親の相続を分けて考えていない
・養子縁組が今も続いているか確認していない
・養子が先に亡くなっているのにその子を確認していない
・死亡時まで養親子関係が続いていたか確認していない
特に多いのは、「養子がいる」という一点だけを見て話を進めてしまうことです。
実際には、養子がいる相続では
・どの種類の養子か
・誰が養子か
・どちらの相続か
・今もその関係が続いているか
まで確定しないと、相続人の範囲は決まりません。
戸籍収集にお困りの方へ
相続では
・戸籍を出生から死亡まで集める
・相続人を確定する
・法定相続情報一覧図を作成する
といった作業が必要になります。
特に養子が関係する相続では
・確認の方向が一つではない
・普通養子と特別養子で考え方が変わる
・養子縁組の継続状況まで確認が必要になる
・代襲相続まで確認範囲が広がる
といった事情から、手続きが大変になることがあります。
戸籍取り寄せ代行センター(行政書士)では
・相続に必要な戸籍収集
・法定相続情報一覧図の作成
をまとめて対応しています。
戸籍が多い相続でも、戸籍収集から一覧図作成まで一括対応可能です。
基本料金は19,800円です(料金は相続人の人数で変わりますが、戸籍の通数では変わりません)。
まとめ
養子がいる相続では、相続順位のルールが特別だから難しいのではありません。確認の方向が一つではなく、途中で前提も変わりやすいから難しくなります。
特に重要なのは
・普通養子は養親側と実親側の両方に相続関係が広がる
・特別養子は実親側の相続を前提にしない
・被相続人が養子か相続人候補が養子かで確認範囲が変わる
・養子縁組の関係が今も続いているか確認が必要になる
・養子が先に亡くなっていれば代襲相続まで確認が必要になる
という点です。
そのため実務では、養子縁組の記載を見つけた時点で、誰が養子なのか、どちらの相続を考えているのか、その関係が今も続いているのかを切り分けながら、戸籍にもとづいて相続人の範囲を確認していくことが重要になります。
相続の戸籍まわりの全体像は
▶相続の戸籍の集め方と必要書類|解説記事一覧
にまとめています。他のケースや手続きも含めて確認したい方は、あわせてご覧ください。
