相続人不存在とは?相続人がいない場合の戸籍確認の流れとその後を解説

相続では、戸籍をたどっていった結果、「相続人がいないかもしれない」という状態に行き当たることがあります。

実務では

・子もいないように見える
・父母や祖父母もすでに亡くなっている
・兄弟姉妹もいない、または全員亡くなっている
・甥姪まで確認しても相続人が見当たらない

といった場面で、どこまで戸籍を確認すればよいのか分からなくなることがあります。

結論からいうと、相続人不存在は「何となく親族がいなさそう」で判断するものではありません。被相続人の戸籍を出生までたどり、子、直系尊属、兄弟姉妹、必要に応じて甥姪まで順番に確認したうえで、初めて相続人がいない可能性を考えることになります。

しかも実務では、

・戸籍上の法定相続人候補が本当にいないのか
・相続放棄、相続欠格、相続廃除で実際に相続できる人がいなくなっていないか
・その結果として相続人不存在に近づいているのか

まで見ていく必要があります。

また、相続人不存在に至ると、その後は通常の相続とは違う流れになります。ただし、その前提として最も大事なのは、まず戸籍を最後までたどって本当に相続人がいないのかを確認することです。

この記事では

・相続人不存在とは何か
・どのような場合に相続人がいないことになるのか
・戸籍をどの順番で確認するのか
・相続人不存在に近い場合の実務上の注意点
・その後にどういう流れになるのか

を、戸籍収集の視点から解説します。

相続の戸籍収集にお困りの方へ

相続では、まず被相続人の戸籍を「出生から死亡まで」揃える必要があります。
ただ本当に迷いやすいのは、相続人側の戸籍を「誰の・どこまで」用意すべき範囲が分からないことです。

戸籍取り寄せ代行センター(行政書士)が、相続に必要な戸籍収集を全国対応で代行します。
基本料金は19,800円です(料金は相続人の人数で変わりますが、戸籍の通数では変わりません)。

目次

相続人不存在とは何か

相続人不存在とは、被相続人に法定相続人がいない状態をいいます。

ここでいう法定相続人とは、

・子
・直系尊属
・兄弟姉妹
・代襲相続人

など、民法のルールに従って相続人になる人です。

そのため、相続人不存在かどうかを考えるには、単に今つながりのある親族がいるかどうかでは足りません。法律上の順位に従って、相続人になる可能性がある人を順番に確認し、最後まで見たうえで初めて判断することになります。

法定相続人の基本的な考え方は、以下の記事でも確認できます。
法定相続人とは?誰が相続人になるのか判断手順を分かりやすく解説

相続人不存在は戸籍を最後まで追わないと判断できない

相続人不存在は、戸籍を途中まで見ただけでは判断できません。

たとえば

・現在の戸籍に子が載っていない
・父母は亡くなっていると聞いている
・兄弟姉妹はいないと思っている

という程度では、まだ不十分です。

実務では

・前婚の子がいる
・認知した子がいる
・養子がいる
・父母は亡くなっていても祖父母が生存している
・異母兄弟や異父兄弟がいる
・亡くなった兄弟姉妹に子がいて甥姪が代襲相続人になる

といったことがあるからです。そのため相続人不存在は、戸籍を最後までたどった結果として初めて見えてくるテーマです。

まずは被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認する

出発点は、被相続人の死亡時の戸籍です。そこから本籍地の流れを追い、出生までさかのぼります。

ここで確認するのは

・子がいるか
・前婚の子がいないか
・認知した子がいないか
・養子がいないか

という点です。

相続人不存在を考える前に、まず第1順位の子が本当にいないかを確定しなければなりません。この段階で子が見つかれば、相続人不存在にはなりません。

子がいないだけでは相続人不存在にはならない

被相続人に子がいない場合でも、それだけで相続人不存在にはなりません。次に確認するのは直系尊属です。

直系尊属には

・父
・母
・祖父母

などが含まれます。

そのため

・子がいない
・父母は亡くなっている

という場合でも、祖父母が生存していれば相続人不存在ではありません。

直系尊属が相続人になる条件は、以下の記事でも確認できます。
直系尊属が相続人になるのはどんな場合?父母・祖父母の順位を解説

直系尊属もいない場合は兄弟姉妹と甥姪を確認する

子も直系尊属もいない場合は、次に兄弟姉妹を確認します。ここで注意したいのは、兄弟姉妹本人だけ見れば終わりではないという点です。兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合でも、その子である甥姪が代襲相続人になることがあります。

そのため実務では

・兄弟姉妹がいるか
・異母兄弟や異父兄弟がいないか
・亡くなっている兄弟姉妹がいるか
・その兄弟姉妹に子がいるか

まで確認していきます。

兄弟姉妹が相続人になる条件は、以下の記事でも確認できます。
兄弟姉妹が相続人になるのはどんな場合?相続順位と甥姪への代襲を解説

具体例で見る 相続人不存在に近づくケース

たとえば、被相続人について次のような状況だとします。

・配偶者はすでに亡くなっている
・子はいない
・父母も亡くなっている
・祖父母も亡くなっている
・兄弟姉妹も全員亡くなっている
・兄弟姉妹に子もいない

この場合、戸籍確認でこの状況が裏付けられれば、相続人不存在の可能性が出てきます。

逆に言うと、

・子がいない
・父母がいない

という段階では、まだ全然足りません。祖父母、兄弟姉妹、甥姪まで確認して、初めて相続人がいないかどうかを考えることになります。

相続人不存在では相続放棄や欠格、廃除の影響も考える

相続人不存在を考える場面では、戸籍だけでなく、相続放棄や相続欠格、相続廃除の影響も関係することがあります。

たとえば

・本来は子がいる
・しかし全員が相続放棄している
・直系尊属も相続放棄している
・兄弟姉妹も相続放棄している

このような場合は、戸籍上の親族関係だけではなく、実際に相続できる人がいるかを別に考える必要があります。

また

・戸籍上は子がいる
・しかし相続欠格や相続廃除で相続人になれない

というケースもあります。

そのため実務では、

・戸籍で法定相続人候補を確認する
・そのうえで相続放棄、欠格、廃除などを踏まえて実際の相続人を考える

という流れになります。

相続放棄、欠格、廃除などは、以下の記事でも確認できます。
相続放棄がある場合、誰が相続人?順位の移り方と戸籍確認の流れを解説
相続欠格とは?戸籍に載っていても相続人になれないケースを解説
相続廃除とは?相続人から外されるケースと注意点を解説

相続人不存在に近い案件では戸籍確認の範囲がかなり広がりやすい

相続人不存在に近い案件では、戸籍確認の範囲が非常に広がりやすくなります。理由は、一つ上の順位に誰もいないことを確認しないと、次の順位に進めないからです。

つまり実務では

・被相続人の出生から死亡まで
・子と代襲相続人の有無
・直系尊属の有無
・兄弟姉妹の有無
・甥姪の有無

まで順番に確認していく必要があります。そのため、相続人不存在に近い相続は、戸籍収集の中でもかなり確認範囲が広い部類に入ります。

相続人不存在に至るとその後の流れは通常の相続と変わる

相続人不存在に至ると、その後は通常の相続とは違う流れになります。ここで大事なのは、戸籍上の相続人が見当たらない、または相続放棄、欠格、廃除などを踏まえて実際に相続できる人がいない状態になると、一般的な遺産分割協議で進める相続ではなくなるという点です。

つまり、

・通常の相続人を前提にした話し合い
・通常の遺産分割協議

では進められなくなります。特に重要なのは、この段階に入る前に「本当に相続人がいないのか」を戸籍で最後まで確認し切ることです。

相続人不存在のその後には、最終的に特別縁故者の問題が出てくることがあります。
この点は、以下の記事でも確認できます。
特別縁故者とは?相続人がいない場合に財産を受け取れるケースを解説

法定相続情報一覧図との関係で注意すべきこと

相続人不存在に近い案件では、法定相続情報一覧図をどう考えるかでも迷いやすくなります。一覧図は、戸籍にもとづいて法定相続人の関係を示す書類です。そのため、相続人不存在を考える場面では、そもそも誰までを法定相続人候補として確認すべきかを戸籍で詰めていく必要があります。

相続放棄や相続欠格、相続廃除がある場合は、戸籍上見える人と、実際に相続できる人が一致しないこともあるため、一覧図と実際の手続きの前提がずれることがあります。

法定相続情報一覧図の基本は、以下の記事でも確認できます。
法定相続情報一覧図とは?作成方法・必要書類・何枚もらうべきかを解説

相続人不存在に近い相続で止まりやすいポイント

相続人不存在に近い相続では、次のような点で止まりやすくなります。

・子がいない時点で相続人不存在だと思ってしまう
・父母が亡くなっているだけで兄弟姉妹に進んでしまう
・祖父母の確認をしていない
・兄弟姉妹だけ見て甥姪を確認していない
・相続放棄や欠格、廃除を考慮していない

特に多いのは「近い親族がいなさそうだから相続人不存在だろう」と考えてしまうケースです。相続人不存在は、戸籍を順番にたどって、相続人になる可能性がある人を最後まで確認した結果として初めて見えてくるものです。

戸籍収集にお困りの方へ

相続では
・戸籍を出生から死亡まで集める
・相続人を確定する
・法定相続情報一覧図を作成する
といった作業が必要になります。

特に相続人不存在に近い相続では
・子の有無だけでは終わらない
・直系尊属や兄弟姉妹、甥姪まで確認が広がる
・相続放棄や欠格、廃除も踏まえて考える必要がある
といった事情から、手続きがかなり大変になることがあります。

戸籍取り寄せ代行センター(行政書士)では
・相続に必要な戸籍収集
・法定相続情報一覧図の作成
をまとめて対応しています。

戸籍が多い相続でも、戸籍収集から一覧図作成まで一括対応可能です。
基本料金は19,800円です(料金は相続人の人数で変わりますが、戸籍の通数では変わりません)。

まとめ

相続人不存在とは、法定相続人がいない状態をいいます。ただし、相続人不存在かどうかは簡単には判断できません。

特に重要なのは

・まず被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認する
・子がいないだけでは足りず、直系尊属も確認する
・直系尊属もいなければ兄弟姉妹と甥姪まで確認する
・相続放棄、欠格、廃除の影響も踏まえる
・戸籍を最後まで追った結果として初めて相続人不存在の可能性が見えてくる
・その後は通常の相続とは違う流れになる

という点です。

そのため実務では、途中で判断を急がず、相続順位に沿って戸籍を順番に確認しながら、相続人の有無を確定していくことが重要になります。

相続の戸籍まわりの全体像は
相続の戸籍の集め方と必要書類|解説記事一覧
にまとめています。他のケースや手続きも含めて確認したい方は、あわせてご覧ください。

目次